1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

GE流インダストリアル・インターネットで、デザインが重要な理由

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月25日 16時38分

 例えば油田の掘削現場にユーザーがいるなら、心肺蘇生訓練や墜落時の脱出訓練を含めたヘリコプターの搭乗訓練を受けてまでも、はるばるその掘削現場まで足を運んでリサーチを行わなければならない。ユーザー理解は極めて重要であり、手間も時間もコストもかける必要がある。

「実際にユーザーにアクセスし、何が起きているかを理解しなければ、真に有用なUX(ユーザー体験)のデザインも、そしてインダストリアル・インターネットも実現しません」

 これはデザイナーにとっては改めて言うまでもない事実だろう。しかし、社内のメンバー、特にデザインについて専門外の人々には理解しにくいことかもしれない。

 人間は本能的に未知の世界に触れることを恐れる。テクノロジーが進化し、ビジネスを取り巻く環境も変化の激しい時代だが、この状況でインダストリアル・インターネットやUXデザインという未知のものをどうやって受け入れるか。1つの答えにコ・クリエイション(共創)がある。GEで利用している手法の1つだ。



ソリューションが不明確で合意形成が必要なとき、コ・クリエイションは力を発揮する


 GEではコ・クリエイションについて、多様なステークホルダーが一緒になって画期的な問題解決法を生み出すプロセスと定義している。キーワードは「多様なステークホルダー」だ。

 会社や部門を超えて、顧客も含めた多くのステークホルダーが一緒に仕事をすることが重要だとラウ氏は言う。

「インダストリアル・インターネットのデザインをするのはデザイナーやデータの専門家だけではありません。いろいろな機能、職能をミックスしていく、そしてそこにリーダーシップをもたらすことが重要です」

 エンドユーザーのためのデザインを実現するには、経営トップとエンドユーザーも含めて対話する必要がある。ステークホルダーが一堂に会することで、初めて有意義なワークショップが可能となる。

 コ・クリエイションが効果を発揮するのは、以下のマトリクスの右上の部分だ。

ソリューションが明確に定義されておらず、なおかつステークホルダーの方向性が明確に一致していない場合に、コ・クリエイションは効果を発揮する。(ラウ氏提供の図版を元に作成)



明瞭なソリューションへと一緒に到達する

 例えば、できあがった製品を販売する段階では、どんなニーズがあり、そのニーズに最適なソリューションは何かということは、おおむね明快になっているはずだ。しかしコ・クリエイションは違う。どんなチャレンジをすべきか、そしてその解決策は何かを顧客と一緒に定義していくのだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください