歯磨きから女性性器切除まで、世界の貧困解決のカギは「女性の自立」にある
ニューズウィーク日本版 / 2016年8月25日 17時40分
歯が悪ければ、ものが食べにくい、勉強にも集中できない。僻地の村では歯科医がいなくて治療もできない、あるいは、いても治療に払える金がない。歯を磨く習慣が定着して虫歯が減れば、こうした問題が解消できるというわけだ。
一方で、女性性器切除の慣習を撲滅するというアイデアもある。こちらは逆に、日本で暮らす私たちにはまったくなじみがない。だが世界にはいまだに、幼い娘の女性性器の一部を切り取るというこの慣習が根強く残っている地域がある。そして、切除の際の処置が悪かったために感染症にかかって命を落とす少女も少なくない。命を落とすことがなくても、麻酔もかけずに体のもっともデリケートな部分を傷つけられたというトラウマは、一生涯残るものだ。
【参考記事】拒食症、女性器切断......女性の恐怖・願望が写り込んだ世界
このほかにも本書には、ゴミとして捨てられたペットボトルで家や照明を作るといった、資源不足とゴミ問題を一挙に解決できるような、目から鱗のアイデアも数多く掲載されている。「女性をエンパワーすることで貧困を減らす」――そのための方法がこれほど多種多様に存在するのかと驚かされる。
行動を起こすためのヒントを提示する一冊
日本人は「ボランティア慣れ」していない、とはよく聞く話だ。たしかに、寄付やボランティアが生活に根付いている欧米に比べると、日本でボランティア文化が浸透しているとは、まだまだ言えない。
そのため日本では、何をすればどこにいるどんな人たちの役に立てるのか、自分にも何かできることがあるのか、行動を起こすためにはまずどうすればいいのか、といった基本的なことがわからず、結局何もせずに終わってしまう人が多いのではないだろうか。
「熱効率の良い改良型コンロを普及させる」「溜めた雨水をろ過や日光消毒で安全な水に変える」――本書『WOMEN EMPOWERMENT 100』に掲載されているアイデアのすべてが、日本にいる私たちに実行できたり、あるいは、先進国である日本国内の貧困問題にも役立ったりするとは限らない。
それでも、色鮮やかな数多くの写真とともに紹介されている100のアイデアの中にはきっと、行動を起こすためのヒントがあるはずだ。「こんなことで世界の貧しい女性たちの力になれるんだ!」という驚きが、ボランティアとして一歩を踏み出す力になる。
印象的なセンテンスを対訳で読む
最後に、本書から印象的なセンテンスを。以下は、『WOMEN EMPOWERMENT 100』の原書と邦訳からそれぞれ抜粋した。
この記事に関連するニュース
-
パナソニックHD、JICAと協働し、ケニアの無電化地域にソーラーランタンを寄贈 ~女性や少女たちの教育、健康、収入向上の機会を支援~
PR TIMES / 2024年11月25日 16時15分
-
夫婦間の不仲から米社会の分断まで...「不健全な対立」を「健全」に変える2つの方法
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月19日 10時55分
-
『母国では女の子が生理用品を買うのはタブー』 お茶の水女子大学にてBe-A Japanが生理セミナーを実施。宗教や文化による「生理」に対する扱いや考え方の違いとは。
PR TIMES / 2024年11月12日 13時0分
-
"Nice to meet you."に"Me too."と返してはいけない…日本人が誤って使っている日常英語フレーズ5選
プレジデントオンライン / 2024年11月6日 16時15分
-
これで米大統領選と「その後」がさらに理解できる...「アメリカ」をもっと深く知るための本
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月5日 18時6分
ランキング
-
1ミャンマー軍トップに逮捕状を請求 国際刑事裁判所の主任検察官「ロヒンギャの迫害に関与」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 20時47分
-
2レバノン停戦、市民に不信感も=「双方が違反する」と懸念
時事通信 / 2024年11月27日 19時55分
-
3米国が日本にミサイルを配備すれば対応する=ロシア外務省
ロイター / 2024年11月28日 0時33分
-
4中国で拘束の米国人3人解放 バイデン大統領の外交成果に
共同通信 / 2024年11月28日 0時23分
-
5米連邦控訴裁、機密文書持ち出し事件巡るトランプ氏起訴の取り下げ認める…2つの刑事裁判が終了
読売新聞 / 2024年11月28日 4時5分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください