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日本のアフリカ市場出遅れ、問題は企業サイドに

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月26日 16時45分

 日本にとってアフリカはあまりに遠い。ここ10年ほど、アフリカは確かな経済成長を遂げ、「援助から投資へ」の掛け声の下、世界はアフリカ投資ブームに湧いた。この間日本企業は、味の素やトヨタ自動車、関西ペイントなど、しっかりアフリカに根付きつつある企業も一部にはある。だが、伝統的にアフリカに強い米欧勢や、資源関連とインフラへの投資を中心に台頭する中国勢と比べ、日本勢が全体的に出遅れているとの感は否めない。

【参考記事】危険でもアフリカ目指す中国企業を待つ現実

 アフリカ経済に精通する日本貿易振興機構(ジェトロ)の平野克己理事は、「アフリカでの日本企業のプレゼンスの低さは、アフリカの問題と言うより日本企業の問題」と断言した。1993年以降、日本主催で既に計5回開催されているアフリカ開発会議(TICAD)。アフリカでの初開催となる8月末の第6回TICAD(ケニア、27、28日)は、そうした流れが変わるきっかけとなるのだろうか。

高度成長支えたケータイと銀行に手が出ず

 アフリカ市場を見やれば、アフリカ内外の投資家や企業が注視している成長部門と、日本企業の強みに「ずれ」があり、日本勢の「弱み」が透けて見えてくる。

 国際通貨基金(IMF)アフリカ局長のアントワネット・モンショー・セイエ氏に筆者がインタビューした際、出遅れ気味でリスクに慎重な日本企業にまだアフリカでチャンスがあるかと尋ねると、「一部では製造業の発展も見受けられており、日本の投資家にもチャンスがある」と答えた。強い製造業というステレオタイプ的な日本企業像は、既に国際的な市民権を得たようだ。

【参考記事】アフリカで、アフリカ製造業の活躍が始まった

 確かに日本の製造業は東南アジアに積極進出し、同地域の発展と成長に大いに貢献した歴史がある。しかし2000年代初めに始まったアフリカの高成長を支えたのは、「携帯電話と銀行」(平野理事)だった。

 筆者がアフリカ投資ブームの一端を取材していた国際金融都市ロンドンでは、何といってもアフリカの銀行業への関心が高かった。何しろ銀行口座すら持っていない人が大半だ。成熟社会では手堅くはあるが、利幅が薄く、成長余地もさほどないビジネスの代表格である商業銀行業務で膨大な需要が見込めるとして、英金融大手バークレイズ元最高経営責任者(CEO)のボブ・ダイヤモンド氏は自ら立ち上げたファンドを通じ、アフリカの銀行を買いあさっていた。

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