1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

ABWを徹底的に研究、導入し、満足度の高いオフィスを実現

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月9日 16時42分

 もちろん、今回のリニューアルの成功の裏には綿密なチェンジ・マネジメントが功を奏していたことにも触れなくてはならない。スペースに限りがあった以前のオフィスでは、デスク周りやキャビネットに保管されていた膨大な紙の資料が悩みの種だった。デビッド氏は言う。「ABWへの移行を決定した時、ワーカーには『所有物はロッカーに入るくらいの箱に収まるように』と伝えました。引っ越しの前にオフィス全体で紙の使い方を分析して見直し、移転先ではスキャニング、オンライン・ストレージ、外部の書類保管庫などを利用して紙の使用量を最低限に抑えることにしました」。

 実際、優れたワイヤレス環境が整備されたことでワーカーのモバイル化が進み、会議の際は紙のノートではなく、ノートパソコンを持参するようになった。液晶ディスプレイやスクリーンに資料を映し、その場で修正を行い、その修正が元のドキュメントに反映される、といったことが可能になっている。社内の紙の消費量は従来より60%も削減された。環境への影響も考えると、これは大きな成果だ。

キッチンスペース。ワーカー専用のコーヒーマシンもここに置いてある。ちなみにグッドマンでは、オフィスのデスクでの食事は禁止されている。キッチンで食事をとることで、社員同士の交流が生まれる。



階段付近のオープンスペースには、10名ほどで使えるミーティングエリアがある。

ABWは働き方を変え、チームのコミュニケーションの方法も変えた

 一人ひとりがデスクを与えられ、マネージャーが全体を展望できるオフィスから、毎日各自が自分の仕事場を選べるオフィスへ移行することは、マネージャーにとっては、部下がどこで何をしているか見えなくなるということでもある。毎日どこでどう仕事をこなすかを決める自由は、社員にとって励みであり、責任でもあった。自分にとって働きやすいだけでなく、チームのためになるような働き方が期待され、その結果、社員同士のコミュニケーションの促進、コラボレーションの創出、エンゲージメントの強化をもたらした。

 また、こうした働き方の変化は、ABW環境のもとで柔軟かつ自律的に働ける質の高い人材を引きつけ、離職率の低下にもつながったという。シドニー・オフィスでのABW導入の成功に続いて、同社は顧客により近づくべく郊外にサテライトオフィスも設置した。さらに自由度が高く働きがいのある、現代的な働き方を模索している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください