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芸能人の「一日警察署長」も、容疑者を逮捕できます

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月27日 12時15分

 逮捕状は、警視庁や道府県警察本部、警察署に勤務する「警部以上の階級にある警察官」が請求できることになっている(東京都の場合は、警視庁司法警察員等の指定に関する規則 第3条3号4号、他の道府県でも同様)。

 じつは、一日警察署長に「警部」や「警視」などの階級が特別に与えられているケースもある。とはいえ、有名人を警察署に迎えるにあたって、おもてなし的に付与された名目上の階級だ。実質を伴うものではないため、一日警察署長が裁判所に逮捕状を請求することはできないし、他の警察官に逮捕を指示できるわけでもない。

一日警察署長もあなたも、現行犯逮捕ができる

 一方、緊急逮捕は、一定以上の重大犯罪を犯したと疑うに足りる十分な理由がある容疑者がいて、裁判所から逮捕状が出るのを待っていられず、急を要する場合には、ひとまず逮捕して、後で逮捕状を請求する手続きである。

 事後的とはいえ、逮捕状を請求しなければならない。やはり一日警察署長の出る幕はないといえる。

 もし、一日警察署長が容疑者を逮捕できるとすれば、逮捕状がいらない「現行犯逮捕」ということになる。



 いや、種明かしをしてしまうと、現行犯逮捕の権限は、あなたにも与えられている。

◆刑事訴訟法 第213条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。◆刑事訴訟法 第214条 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

 すなわち、現行犯の容疑者が相手であれば、誰でも「逮捕」が可能なのである。ただ単に容疑者を取り押さえて警察に協力するのではなく、逮捕という刑事手続きに、誰もが正式に関わることができるという意味だ。

 逮捕には手錠が付きものだというのも、一種の思い込みにすぎない。もっとも、いくら相手が犯罪者とはいえ、現行犯逮捕のとき、不用意に殴ったりケガを負わせたり、首を絞めたりする暴力は決して許されない。

 最高裁の判例では「警察官であると私人であるとをとわず、その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当であると認められる限度内の実力を行使する」範囲で留めなければならないとされている(第一小法廷1975年4月3日判決)。

犯罪行為を目撃していなくても現行犯逮捕はできる

 では、「現行犯」というからには、犯罪行為をその目で見ていなければ容疑者を逮捕できないのだろうか。どこまでが誰でもできる現行犯逮捕で、どこからが警察官などにしか許されない通常逮捕・緊急逮捕なのか、その境界が問題となる。

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