今年のノーベル経済学賞と暮らしの関係は?
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月14日 17時20分
経済学賞はその時々の世界の経済的関心を反映する傾向がある。時の銀行家や政治家を悩ませている事柄、よってニーズも高い分野に貢献した研究ほど受賞しやすい。昨年は、消費、貧困、福祉についての研究でアンガス・ディートンが受賞した。2014年の受賞者ジャン・ティロールは、市場支配と規制の役割についての研究が実った。
ハートとホルムストロムの研究は、経済学の昔からの論争と新たな問題に答える上で多大な貢献をした。契約関係に競合するインセンティブが存在するとき、一方では協力しながらも、いかに矛盾を解決できるかという問題に答えを出した。多くの意味で、現代経済学の考え方に根本的な転機をもたらした。また、同じく契約が非常に重要な社会や政策といった他の多くの分野と重なるところも多い。
受賞者を決めるにあたって、スウェーデン王立科学アカデミーは、これらの方法論や理論が広く応用可能で、契約に関心のある者は誰でも、2人の研究の背景にある原則から多大な恩恵を受けることができるということを重視したのかもしれない。ある意味それは、家計、労働者、企業、政府、多国間組織など社会と経済の構成員のほとんどすべてかもしれないのだから。
Arnab Bhattacharjee, Professor of Economics, Heriot-Watt University and Joseph Byrne, Professor of Economics, Heriot-Watt University
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
アナブ・バタチャジィ(英ヘリオット・ワット大学経済学教授)、ジョセフ・バーン(同経済学教授)
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