ノーベル平和賞以上の価値があるコンゴ人のデニ・ムクウェゲ医師 ―性的テロリズムの影響力とコンゴ東部の実態―
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月18日 17時10分
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(注3)UNSC, S/2016/466, 23 May 2016, para. 200
(注4)UN Group of Experts, S/2002/1146, 16 October 2002, para. 68
(注5)Martin Plaut, 'Congo spotlight on India and Pakistan', BBC, 28 April 2008
(注6)ボスコ・ンタガンダは、同時に「コンゴ」反政府勢力CNDPの将軍も兼任していた。ICCは2012年にも、ンタガンダに戦争犯罪および人道に対する罪の容疑で2回目の逮捕状を発行した。逮捕状には、ンタガンダの国籍が「『ルワンダ人』と信じられている」と記述されている。ンタガンダは2013年3月にルワンダに逃亡しICCに自主的に投降したが、それは自己保身のためであった可能性が高い。
(注7)UNSC, S/2009/603, 23 November 2009, para.183
(注8)BBC, 'Congo Ex-Rebel "Working with UN",' April 29, 2009.
このように政治的に敵対関係にあると信じられているアクターが、実は経済的サバイバル、天然資源の搾取や土地の支配のために、現地に混乱状態を意図的に長期化させ、そして相互の存在を活用しあい協力が生まれることがある。コンゴ東部の長期化した「紛争」はまさにさまざまなアクターが演じている「茶番劇」であり、「喜劇」とさえ呼んでいるコンゴ人もいる。
上述のように、ムクウェゲ医師によると、国軍と武装勢力は証拠を残さないためにも殺戮ではなく性的テロリズムでコミュニティーを破壊している。では、なぜベニでは現在も殺戮が続いているのか。この殺戮が現在進行形であるため現時点で十分に分析できない。が、推測としては、コンゴ軍がADFというイスラミスト系勢力をスケープゴートとして使っているのか、あるいはベニから住民を追放しなければならない特別で緊急の理由があるのか。ただ一つ事実として言えることは、ベニ付近には3000人のPKO要員がいるにもかかわらず、その殺戮を止められないことである。
France 24というフランスのメディアは2016年8月16日、「コンゴ・北キブ州、忘れられた戦争」というテーマで、ベニにおける殺戮について議論した。しかし二者以上のアクターが戦闘している「戦争」ではなく、コンゴ軍と反政府勢力が一方的に市民を殺戮している。
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