レジリエンス(逆境力)は半世紀以上前から注目されてきた
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月18日 12時15分
<昨今注目を集める概念「レジリエンス(逆境力)」だが、実は半世紀以上も前から研究されている――。不安定でストレスの多い時代を生き抜くための「打たれ強さ」の身につけ方(1)>
ここ数年、ビジネスの世界で関心を集めている概念がある。「resilience(レジリエンス)」だ。日本語では「復活力」や「逆境力」、あるいは「折れない心」などと訳されることもあるが、そのままカタカナで「レジリエンス」と表記されることも多い。ひと言では表現しにくい、新しい言葉だからだ。
例を挙げれば、日本で2013年に刊行された書籍のタイトルは『レジリエンス 復活力――あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』。2014年にNHKの「クローズアップ現代」で取り上げられた際は、「"折れない心"の育て方 ~『レジリエンス』を知っていますか?~」だった。
復活力、逆境力、折れない心......どう呼ぶにせよ、馴染みのなかったこの概念がなぜ今、注目されているのか。イギリスのキャリア・ストラテジストであるジョン・リーズは、人々が自然災害を強く意識するようになったことや、情報過多と景気低迷の時代のなかで多くの人が不安定でストレスの多い労働環境に追いやられていることを、理由として挙げている。
であれば気になるのは、どうすればレジリエンスを身につけられるのか、だろう。リーズによれば、レジリエンスが生まれつき備わっている人もいるが、後天的に獲得することもできる。「レジリエンスは性格ではなくアプローチであり、脳のギアを切り替えるための方法である。気質ではなくプロセスだ」と、彼は説明する。
リーズはこのたび、レジリエンスを習得・開発・強化する方法を伝えるべく、『何があっても打たれ強い自分をつくる 逆境力の秘密50』(関根光宏訳、CCCメディアハウス)を上梓した。50の項目にまとめられた、「困難な状況を上手に切り抜けるだけでなく、力強く成長する」ための実践的な1冊だ。
ここでは本書から一部を抜粋し、4回に分けて掲載する。第1回は「はじめに」より。レジリエンスは急に注目されはじめた概念だと思われるかもしれないが、実は、もともとは物理学用語であり、半世紀以上も前から心理学分野などで研究されてきたという。
『何があっても打たれ強い自分をつくる
逆境力の秘密50』
ジョン・リーズ 著
関根光宏 訳
CCCメディアハウス
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