スー・チー氏の全方位外交と中国の戦略
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月8日 7時0分
会談で習近平主席は「両国は軍事協力を発展させていき、双方の共通利益を守っていくべきだ」などと述べた。
それに対してフライン国防軍総司令官は「ミャンマー政府は中国政府との二国間関係を重要視しており、継続的な友好関係を構築していく方針だ。ミャンマーと中国の国境地域の安全を守るためにも、中国政府との友好関係を維持し、中国をサポートしていく」旨の回答をしている。
フライン国防軍総司令官は、1日午後、中央軍事委員会の許其亮副主席(空軍上将)とも会い、軍事面における話し合いを行っている。
スー・チー氏訪日と同時に習近平主席と会談するという形を取ったのは、中国の戦略なのか、あるいはミャンマーの、すなわちスー・チー氏の思惑なのか。
どちらが先かは別としても、「双方の思い」が一致したことは確かだろう。
日本は対ミャンマー戦略で、スー・チー氏のこういった側面も、きちんと押さえておく必要があるだろう。
(なお、中国政府側の見解に対する筆者のコメントは、長くなり過ぎるので、ここでは控えた。こういう事実があったことをお伝えするのに留めることとする。)
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)
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