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都会の部屋は「狭い」がクール

ニューズウィーク日本版 / 2016年11月15日 11時15分

 目的は住居の可動性だ。引っ越すときはユニットを引き抜いてそのまま運び、転居先のフレームにはめ込めばいい。

 確かに、住まいを丸ごと移動するというアイデアには魅力がある。しかし狭小アパートに付きまとう大きな疑問は拭えない。都会のマイクロハウスは独身の若者にはいいかもしれないが、その若者が誰かと出会って、家庭を築くことになったら?

 多くの場合、彼らはもっと広い家に引っ越すだろう。ミニサイズの家が増えるほど、都市中心部の人口流動性は高まる可能性がある。言い換えれば、住民の入れ替わりが激しくなり、安定したコミュニティーの形成が阻まれるということだ。

 再びブームを迎えた極小アパートはいずれナルコムフィンのように疎まれ、誰も住まない廃墟になってしまうのか。マイクロタワーは時代の先端かもしれないが、人間の生活は時とともに移り変わる。最低限のスペースで暮らし続けるのは、多くの人にとって無理な話だ。

[2016.11.15号掲載]
ジョナサン・グランシー(建築・デザイン担当)


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