トランプ・蔡英文電話会談は周到に準備されていた?
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月5日 13時40分
周到に準備されていたトランプ・蔡英文電話会談――陰にはトランプ陣営大物
キッシンジャー氏の北京訪問を「曲芸」と名付けたのには、理由がある。
実はペンタゴンにおける軍事戦略などのシンクタンクの役割も果たしているヘリテージ財団のエドウィン・フュルナー氏がトランプ当選後の10月13日、秘密裏に台北を訪れ蔡英文総統と面談していたのだ。
11月10日、台湾の三立新聞などが「台米関係は緩和か?トランプ幕僚フュルナー秘密訪台 蔡英文とは20年来の仲」というタイトルの報道をした。このページでは、まず宣伝が出てくるが、15からゼロまでカウントダウンしていき、最後に「×」印が出てくるので、この「×」をクリックして宣伝を消せば、タイトルの情報が出てくる。
フュルナー氏はヘリテージ財団の総裁を長いこと(2013年まで)務めていたが、今年8月にトランプ陣営に入った。
ヘリテージ財団というのは、1973年に設立された保守系シンクタンクで、アメリカの伝統的な価値観や国防の強化などを掲げているため、中国語では「米国伝統基金会」という訳し方をしている。
蔡英文総統とは、彼女がまだ台湾で国家安全委員会諮問委員会の仕事をしていた時期に接触があり、二人は20年来の知己であるという。
アメリカの大統領選挙中、蔡英文側はヒラリー候補と緊密な連携を持ち続けたと言われている。トランプ氏が「世界の警察にならない」と宣言し、アジア回帰を否定していたからだ。それは安全保障上、台湾に大きな不安を与え、ヒラリー・クリントン氏が当選してくれる方がいいと応援していたのだ。
トランプ当選が決まったとき、蔡英文総統は記者の問いに青ざめていたと、台湾メディアは報道している。そのため10月13日にトランプ陣営の大物、フュルナー氏が20年以上の仲である蔡英文総統に会いに行ったものと推測される。
一方、トランプ氏は当選後まもない11月17日に、キッシンジャー氏に会い、外交問題に関して話しあったと、アメリカメディアが報道した。会談後トランプ氏は「キッシンジャー氏を非常に尊敬しており、意見交換ができて、うれしい」と語ったとのこと。
両氏は「中国、ロシア、イラン、欧州などの問題について話し合った」と報道されたが、当然このときに、「一つの中国」問題や台湾問題に関しても触れたことだろう。
この報道を知ったとき筆者は、10月13日にトランプ陣営の顧問的役割をしているフュルナー氏が訪台し蔡英文総裁に再会していることを反射的に連想した。
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