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AIにできない人間のミッションは、答えのない問いを模索すること

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月9日 14時24分

 ただし、違う種類のシンギュラリティはあるかもしれません。シンギュラリティにはさまざまなシナリオがあると思いますが、私が考えるより可能性の高いシナリオは地球規模のコンピュータを作るということです。全ての人類と全てのコンピュータをつないで、人間とマシンが複雑な相互依存を形成する。非常に大規模な1つのコンピュータとして振る舞うのです。そういった種類のシンギュラリティが一番可能性が高いのではないかと思います。

これはあなたの未来で、そこから逃れることはできない

――本書で説明されている不可避の未来をもたらす12のトレンドは全て動詞で示されています。あえて形容詞や副詞をつけるとしたら、どんなものがありますか。

ケリー: 有名な広告キャンペーンがあります。1990年代のAT&Tのものです。将来について語ったテレビコマーシャルです。彼らの加えた言葉は2つでしたが、その言葉は私の本のセンスに近いです。それは"You will"です。あなたはそうするんだということです。

 あなたは将来、地図なしで国を横断すると彼らは言った。GPSのことですね。あるいは海岸にいて誰かにメッセージを送っている。あるいは台所で質問すると答えが出てくる。そういう風景に対して"You will"という言葉が添えられるのです。

 これが私が提案する価値です。"You will"です。不可避のテクノロジーに私なら副詞でなく代名詞を加えると思います。基本的には"You will"です。あなたはフィルターする、あなたは認知化する、あなたはアクセスする、あなたはリミックスする――。あなたはこの不可避の流れに関わってくるんです。これはあなたの将来で、そこから逃れることはできないということです。



この質疑応答は、聞き手を廣田周作氏(電通ビジネスクリエイションセンター、COTAS編集長/写真左)、司会を松島倫明氏(NHK出版編集長)が務めた。

生産的な問いができるかどうかでクリエイターの価値が決まる

――あなたがそうするんだという、受け手に対する問いかけがコミュニケーションとして重要ということですね。一方で、テクノロジーは人間とは何かという再定義を迫るものだという主張が本の中で随所になされています。効率が重視される仕事をテクノロジーが肩代わりしていく中で、クリエイターのミッションはどのように再定義されるでしょうか。

ケリー: 将来におけるクリエイティビティは驚くべきものになるでしょう。人間特有の能力ではなくなると思います。

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