スパコン「ワトソン」まで参入!AIで激変するクリスマス・ショッピング事情
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月15日 20時0分
<自分でも忘れていた贈り物候補を思い出させてくれたり、数千数万のブランドから好みのデザインを選んでくれたり、買い物の満足度はアップしそう>
イギリスの消費者がクリスマスプレゼントの購入に費やす予算は平均で280ポンド。その半分以上がオンラインで使われる。昔も今も友人や家族からの「おススメ」が購入の主な決め手になるとはいえ、ほぼ3人に1人はネット上の評価に頼っている。
試算によると、16年末までにオンラインショッピングの市場規模は前年比で24%増加する見込みだ。ところが、買い物を通じてもっと五感に訴える感覚を味わいたいという消費者が増えるにつれ、ネットの小売店はプレッシャーを感じている。消費者を楽しませる方法を次々に見つけ出し、顧客を満足させなければならないからだ。
そこで彼らが活用し始めた新技術が人工知能(AI)だ。AIを利用すれば、顧客の行動を分析し、欲しい商品を予測し、一人ひとりに差別化した顧客体験を提供できるようになる。つまりAIには、オンライン上の個別の体験を一層カスタマイズできると期待がかかっている。
顧客に合わせて差別化
小売店が顧客とのやり取りでAIを活用する事例は、すでに多数存在する。そもそもこうしたAIは、顧客の好みや行動を学習し、顧客のニーズなどを分析してある程度カスタマイズした商品を大量生産するのが基本だ。マーケティングの世界ではマス・カスタマイゼーションという。
ファッション小売サービスの米スティッチ・フィックスは、スタイリストが顧客のために選んだ服やアクセサリーを毎月5点届けるサービスを提供する。届いたアイテムを購入するかどうかは顧客が自由に決められる仕組みだ。同社がアイテムを選定する基準は、顧客が入力したアンケートや、画像共有サービス「ピンタレスト」登録された画像、居住地の天候パターンや、スタイリストに対する個人的なメモなど。これらのデータから開発した独自のアルゴリズムによって、スタイリストは顧客が最も好みそうなアイテムを厳選して自宅へ届ける。
オンラインでの選択肢が広がるなか、小売店は購入プロセスの簡素化にも取り組んでいる。リアルのお店なら、商品を見て回るのも容易だ。おもちゃ売り場に途中にあった上着をチェックしてもいいし、それとなくスター・ウォーズのフィギュアを見ていたら、通路の向かいに欲しかった紅茶用のティータオルを偶然発見した、なんてこともあるだろう。
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