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スパコン「ワトソン」まで参入!AIで激変するクリスマス・ショッピング事情

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月15日 20時0分

 ところがインターネットだとそうはいかない。従ってネット商売でAIを活用する場合重要になる目的の一つは、顧客自身が気づいていない場合でも、選択肢を絞り込み、探し物を見つけるのをアシストすることだ。最近の研究では、顧客はどの商品カテゴリーのものを購入するかを決めてしまえば、あとはその中で候補に挙がる商品の幅が少ないほど、選択にかかる負担が軽くなることが明らかになった。

 ショッピングで色やデザインなどビジュアルを重視するタイプの人は、イギリス発のファッションサイト「スナップ・ファッション」を参考にするとよさそうだ。ユーザーがネットで見つけた写真や欲しい服をスマホで撮った画像をもとに、視覚を用いた検索エンジンを使って1万6000種類以上のブランドからユーザーの好みに合いそうな商品を提案してくれるサービスだ。17年8月以降は街中にある実際の店舗の試着室でも、試着した商品から顧客が気に入りそうな商品リストを表示してくれる「スナップファッション・インストア」というサービスも開始する予定だ。

チャットボット

 小売業界における次世代のAIは、顧客一人ひとりに合った商品を提案するという領域を卓越して、顧客と会話ができるようになるはずだ。

「会話型コマース」という用語が生まれたのは2015年、米配車サービス会社ウーバーのエコシステム開発を手掛けるクリス・メッシーナが初めて提唱した。会話型コマースが注目を集めるようになったのは、メッセージアプリや自然言語処理、ブランドなどの力が集結したのがきっかけだ。それにより、AIを使って人に対応するチャットボットの助けを借りれば、顧客は人を介さずにブランドやサービスと直接、チャットやメッセージ、会話のやり取りをすることが可能になった。

【参考記事】AIの新たな主戦場、チャットボットの破壊力

 ネット上で保険商品を仲介するPtoPブローカーの米レモネード社では、顧客は「マヤ」というAIボットを利用して、自分に合った保険契約をデザインする。レモネードの会話型アプリを使えば、ほんの数分で完了する。アプリには事故の状況を説明する専用のビデオ録画機能が組み込まれており、顧客はマヤに話すことで保険金を請求できる。

 会話型コマースが発達すれば、何かを購入する過程で人間がAIの恩恵に預かるばかりで自分では何もできないという受け身の状態から抜け出し、AIと会話を重ねて相互に積極的なパートナー関係を築くことができる。将来は、自分がAIボットと話しているのか人間と対話しているのかすら分からなくなるかもしれない。

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