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スパコン「ワトソン」まで参入!AIで激変するクリスマス・ショッピング事情

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月15日 20時0分

 母親へのクリスマスプレゼントに冬用の新しいジャケットを買ってあげたいと思っている人は、アウトドアブランドの米ノースフェイスが答えてくれそうだ。同社はIBMが開発した人工知能「ワトソン」を搭載し、自然言語での質疑応答が可能なモバイルアプリを開発。顧客にぴったりの商品を特定する手助けをしてくれる。顧客が答える質問内容は、購入したい商品の用途や時期、使用場所、そして特に重視するポイントなど。たとえば新しいスマホがぴったり収まるポケットが欲しいといった具合だ。一連の情報や天気予報、配送に関する必要事項などに基づいて、選択肢がズラリと表示される仕組みだ。

 AI主導のこの種の買い物形態は、店舗で働く店員の接客業の存在意義を揺るがし、場合によっては取って替わる可能性がある。AIは知識が豊富で、迅速な対応も可能、おまけにいくつものデータを駆使して顧客に適したアドバイスを素早く効率的に提供できる。AIアシスタントは二日酔いの心配もないし、だるそうな態度をしたり、聞こえよがしに舌打ちすることもない。

【参考記事】AIに奪われない天職の見つけ方 「本当の仕事 自分に嘘をつかない生き方、働き方」(榎本英剛著)

マスでカスタマイズ

 小売業でAIを導入すれば、マス・カスタマイゼーション(いわば受注大量生産)を実現し、顧客がより短時間で選択肢を絞るのにも役立つ。企業は顧客が「やみつき」になるようなオンラインショッピングの場を、一貫したサービスとして提供できる。小売業界が熾烈な競争に直面するなか、この技術は極めて重要だ。

【参考記事】オーダーメイドのスーツを手頃な価格で――「マス・カスタマイゼーション」で伸びる中国のアパレルメーカー

 問題は、とりわけクリスマスなどのイベントがある季節に、買い物を通じて得られる発見や探求心など、顧客の側が楽しめる要素が減ってしまうことだ。AIの導入は、機械の学習能力と予測分析を利用して顧客がある特定のものを買うよう後押しすることで、購入プロセスを簡素化するからだ。

 会話型コマースが小売業界を牽引すれば、顧客のブランドとの関わり方は高度に差別化される。それらのAIシステムは、保険商品を購入したり商品に関する技術的なアドバイスを受けたりといった、簡単で具体的なタスクを完了したい人にとっては、大きな助け舟になり得る。一方で愛する人へのプレゼントなど、より複雑で想い入れのある主観的な買い物を決断するときには、人々はやっぱり人間特有の才覚や、友人や家族や店員の個人的な意見を求めるのかもしれない。



Rikke Duus, Senior Teaching Fellow in Marketing, UCL and Mike Cooray, Professor of Practice, Hult International Business School

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.


リッケ・デゥース(英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのシニア・ティーチングフェロー)、マイク・クーレイ(米ハルト・インターナショナル・ビジネススクール教授)


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