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英女王の体調不良で「次は誰?」のざわめき

ニューズウィーク日本版 / 2017年1月12日 10時30分

<年末年始の恒例行事の欠席でエリザベス女王には死亡説も。後継者問題が俄然、現実味を帯びてきた>

 エリザベス英女王が体調不良でクリスマス礼拝に加えて新年の礼拝まで欠席――そんなニュースが伝えられると、イギリス中を臆測が駆け巡った。世界最長の在位期間を誇る女王が王位を退いたら、いったい誰が跡を継ぐことになるのか?

 90歳の今もなお精力的に公務をこなしてきた女王の急な病に、ネット上では女王が亡くなったとの偽情報まで出回った。そして何より話題になったのが、王位継承の問題だ。もしも女王が退位するか亡くなるかした場合、長男で王位継承順位第1位のチャールズ皇太子が跡を継ぐことになる。

 68歳のチャールズは、母エリザベスが王位に就いた1952年2月から継承順位第1位にあり、プリンス・オブ・ウェールズ、コーンウォール公爵、ロスシー公爵の称号も持つ。チャールズが王位を継げば、英王室史上最高齢での戴冠になる。

 ただし、「コーンウォール公爵夫人」である妻カミラは王妃にはなれないだろう。故ダイアナ妃を苦しめたチャールズの不倫相手だったとして、今も国民の反感がくすぶっている。

【参考記事】エリザベス女王90歳 素顔がのぞく珍言集

 チャールズに次ぐ継承順位第2位が、チャールズとダイアナの長男であるウィリアム王子。その長男ジョージ王子は第3位で、第2子で長女のシャーロット王女は第4位になる。チャールズの次男であるヘンリー王子は第5位だ。

 英王室では歴史的に、国王の長男が王位を継いできた。継承順位は男子が優先されるが、エリザベスは兄弟がいなかったため、父ジョージ6世の死去に伴い女王になった。

 だが男子優先の王位継承法はジョージ王子が生まれる前の2011年10月に改正が合意された。今では男女にかかわらず国王の長子が優先的に王位を継承することになっている。

 法に従った継承順位では何の問題もないチャールズだが、むしろウィリアム王子が王位を継ぐべきではないかという議論も高まっている。高齢ながら献身的に務めを果たすエリザベス女王の人気がここ20年で最高レベルに高まる一方で、チャールズはイギリス国民にイマイチ受けが悪い。



「女王の人気は絶大だ。約20年前、特にダイアナ妃の事故死後の対応に批判が集まった頃は、英王室への評価は非常に厳しいものがあった」と、ロンドン大学キングズ・カレッジのロジャー・モーティマー教授は本誌に語った。

 そんな状況を地道に立て直してきた女王に比べ、チャールズの評価は一向に上がらない。環境や社会問題などでずけずけと個人的見解を口にしては物議を醸してきたこともマイナスだと、ジャーナリストのジョン・ロイドは指摘する。

 好感度の高さから、チャールズを飛び越えて王位継承がささやかれるウィリアム。だがチャールズが息子に王位を譲るという思いも寄らない展開が実現したとしても、ウィリアムが苦労するのは間違いない。

[2017.1.17号掲載]
シーラト・チャバ

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