米中、日中、人民元、習体制――2017年の中国4つの予測
ニューズウィーク日本版 / 2017年1月12日 16時54分
【参考記事】中国人はトランプ米大統領誕生の意味をまだわかっていない
(2)習近平の夢「超長期政権」は実現するか
国内政治に目を向けると、なんといっても注目は秋に開催される5年に1度の中国共産党党大会、「十九大」(中国共産党第19回全国代表大会)だ。2期目となる習近平体制の最高指導陣、中国共産党中央政治局常務委員のメンバーが発表される場所となる。
中国政治ウォッチャーのブロガー、水彩画氏は「王岐山が留任するかどうか、これが焦点です」と断言する。習近平の右腕として知られる王岐山・中国共産党中央紀律検査委員会書記は現在69歳。党大会時点で68歳以上の者は引退するという「七上八下」の慣行に従えば、留任はありえない。しかし、「七上八下」はあくまで慣行、暗黙のルールであり、明文化された規定ではない。今の習近平総書記の権力ならばルールを変更させることは十分に可能だという。
「もし王が留任すれば、それは習近平体制の3期目にゴーサインが出たと理解するべきでしょう。2022年の党大会時点で習近平総書記の年齢は69歳。今の王氏と同じです」と水彩画氏。
日本への亡命状態にある中国人風刺漫画家の辣椒(ラージャオ)氏も「習近平は反汚職運動で多くの政敵を追い落としました。もしトップの地位を手放せば今度は自分が標的になるかもしれませんし、その時は死刑すらありうるかもしれません。その恐怖から権力の座を手放さないでしょう。長期政権を築くのは確実だと考えています」と指摘する。
毛沢東以来の権威を得たとされる習近平総書記が長期政権を築くのかどうか、今秋明らかになる。
(3)政府は難題「人民元流出」を止められるか
2012年秋の習近平体制発足後、中国経済は毎年のように大事件に見舞われてきた。2013年にはシャドーバンキング問題、2014年には過剰生産能力、2015年には株価急落、2016年には人民元流出......。毎年の難題をさばいてきた経済運営の手腕を讃えるべきか、モグラ叩きのように一つの問題を押さえ込んでも次の問題へとつながる中国経済の不安定さを懸念するべきなのかは悩ましい。
それでも経済成長率は高水準をキープし、2016年も6.5%の目標を達成している。今年も難題を抱えつつも、一定レベルの成長を実現するだろう。
さて、今年の難題はなんなのかが気になるところ。現時点では昨年から続く人民元流出が熱い。
中国の中央銀行である中国人民銀行が1月7日に発表した統計では、2016年末の外貨準備高は前年比3198億ドル減の3兆105億ドルと発表された。2015年も5126億ドルのマイナスだっただけに、2年累計で8000億ドルを超える大幅減となった。3兆ドルという大台割り込みも近い。
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