高齢ドライバーの問題を認知症患者に押しつける改正道路交通法
ニューズウィーク日本版 / 2017年3月21日 18時46分
また、高齢者は視野が狭くなり、ブレーキの反応も遅れてしまいがちですので、路上でドライバーから見えにくい位置にいる歩行者の位置を機械的に検知して、事前に警告するITS(高度道路交通システム)の開発も急がれます。
【参考記事】もしも自動運転車が事故を起こしたら......こんなにも複雑!
事故の原因は様々であり、ときに複合的なものですが、少なくとも「認知症患者は危険なのだから一律に公道から排除せよ」という乱暴なやり方よりはましなのではないかと思います。
◇ ◇ ◇
免許証の「自主返納」制度も始まり、自治体ごとに特典も設けているが、自ら運転をやめようとする人は、なかなか増えない。運転を諦めることは、自分が年老いている事実を正面から認めることになり、辛い決断だ。若いころにはミッション車を走らせていて、運転に自信やプライドを持つ世代でもある。高齢者に対し、家族が無理に運転をやめさせようとして、関係性に亀裂が生じることもある。
この超高齢化社会では、高齢ドライバーないし認知症ドライバーを、十把ひとからげに危険視して公道から排除するのではなく、「共存」を目指す方向性を模索するほうが、長い目で見て有益ではないだろうか。
誰もが将来、高齢者になるのだから。
[筆者]
長嶺超輝(ながみね・まさき)
ライター。法律や裁判などについてわかりやすく書くことを得意とする。1975年、長崎生まれ。3歳から熊本で育つ。九州大学法学部卒業後、弁護士を目指すも、司法試験に7年連続で不合格を喫した。2007年に刊行し、30万部超のベストセラーとなった『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の他、著書11冊。最新刊に『東京ガールズ選挙(エレクション)――こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』(ユーキャン・自由国民社)。ブログ「Theみねラル!」
長嶺超輝(ライター)
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