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「世界一の祝祭」リオのカルナヴァルは熾烈なリーグ戦だった

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月27日 15時19分

3大名門エスコーラのひとつとして知られるImpério Serrano(インペーリオ・セハーノ)には今年で参加16周年を迎えた(特定のエスコーラでの外国人最長記録だ)が、ここで採点対象の打楽器奏者(兼公式認定指導者)として活動し、今年は幹部メンバーにもなった。筆者がその幹部ミーティングで外国人を歓迎するプロジェクトを打ち出したところ、今年は筆者以外に日本人が15名参加し話題となった。他にもドイツ、ポーランド、米国、オーストラリア、メキシコ、パラグアイ、アルゼンチン、チリをはじめ、150名もの外国人が参加した。

【参考記事】知られざるリオ五輪もうひとつの「日本PR」

エスコーラの顔役でシンボル旗を持つペアダンサー役(全エスコーラ共通役)の演技はパレード注目の花形。しかし同時に採点の40点を担う責任を追う。写真は70周年を迎えた名門インペーリオ・セハーノの2人(リオ五輪時にはジャパンハウスにも登場)。重い衣装とプレッシャーを背負う役で、今年も演技中に転倒し大減点となったダンサーもいた Photo: Luiz Eduardo



欧州から米国、アジアまで世界に広がるサンバ人気

このように、外国からも多数の観客と参加者を引き付ける本場リオのカルナヴァルだが、サンバ人気はすでに世界中に広がっている。欧州、北中南米、アフリカ、オセアニア、アジア......と、各地にエスコーラ・ヂ・サンバとそのパレードによるフェスやカルナヴァルが存在するのだ。

なかでも最大は、ドイツのコーブルクで行われるサンバフェスティバルだ。ポルトガルでは全国各地にエスコーラ・ヂ・サンバが結成されている。フランスやスペインにもあるし、ロンドンのノッティングヒル、フィンランドのヘルシンキなど、欧州各地の地元エスコーラ・ヂ・サンバによるカルナヴァルが人気だ。本場リオのエスコーラのメンバーによる出演・指導は1970年代後半から大小さまざまな実績があり、東はロシアまでまさに欧州全域、さらには中東にも広がっている。

筆者自身もロンドンの2強エスコーラに参加し、指導をしたことがある。そこで驚いたのは、今やニューヨークに並ぶ人種の坩堝となっているロンドンを表す状況がエスコーラ内にもあることだった。メンバーは英国人や英国連邦出身者に限らず、世界中からの労働者や留学生などさまざまな国籍・職種・世代の人たちがエスコーラに参加しているのだ。移民大国ブラジルで培われたサンバ特有の"対話・共有型文化"が、現代欧州の多民族混成都市の抱える複雑な状況に対し、同じような機能を果たしていることに感心し、その威力と効能を改めて知った。

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