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「失業」が脳裏を掠める中、AIとの共生を模索する本を翻訳した

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月29日 19時2分

失業してガックリ肩を落としていると、「どうかなさいましたか」と優しく声をかけられ、振り向けば、そこには人型ロボットが立っている......ということも将来的にあり得る。

実は筆者の仕事である「翻訳」も、AIに置き換えられる仕事の代表として、本書でかなりのページが割かれている。好むと好まざるとに関わらず、我々の生活からAIは切り離せなくなっているのだ。筆者も「失業」の2文字が脳裏を掠める中、翻訳を進めていったが、最後まで訳していくうちに安らかな気持ちになっていった。「敵を知る」のは大事なことなのだ。

本書『シンキング・マシン』の最大の魅力は、AIに仕事を奪われるかもしれない人たちにヒントを与え、今後どうすればいいのか、その方向性を示している点だ。

【参考記事】ピュリツァー賞歴史家が50年前に発していた現代への警告



印象的なセンテンスを対訳で読む

以下は『シンキング・マシン 人工知能の脅威――コンピュータに「心」が宿るとき。』の原書と邦訳からそれぞれ抜粋した。

●...these translators will never get paid anything for their contribution -- other than the sum they were paid for carrying out the original contracted work, that is. Hanna Lützen may get paid by the Gyldendal publishing house for translating the Harry Potter books into Danish, but Google pays her nothing if those combined 1 million-plus words then help its system translate a love letter from your girlfriend in Denmark.
(こういう翻訳者たちにはその貢献度に見合った報酬は支払われていない。契約書で定められた仕事分だけが支払われている。「ハリー・ポッター・シリーズ」をデンマーク語に訳したハンナ・リュッツェンはギルンデル出版からは報酬を受け取っているはずだが、100万語を超える彼女の訳語を使って、デンマークにいるガールフレンドからのラブレターを翻訳してくれるグーグルはリュッツェンに何も支払っていない)

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