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トルコで警官9000人が停職処分 : クーデター未遂後の言論状況をジャーナリストたちが語る

ニューズウィーク日本版 / 2017年4月28日 19時50分

ある日、25人のジャーナリストが逮捕・勾留された。公判が終了し、投獄されていた15人が釈放される見込みとなった。家族が刑務所の前に集まり、出てくるのを待っている。しかし、刑務所の門は開かなかった。15人全員が新たな容疑で再逮捕されたからだ。例え刑務所から釈放されても、警察が拘留する。トルコには非常事態宣言が敷かれているからだ。

IPIなどの調査によると、投獄されているジャーナリストは150人を超える。世界中で投獄されているジャーナリストの62%に当たるという。

トルコにはテレビ局が240あるが、政府を批判的な報道をできるのは1-2局しかない。新聞も粛清されている。90%のトルコのメディアは直接的あるいは間接的に政府の影響下にある。

こんな中で、外国人ジャーナリストはどのように取材を行っているのか。



イタリアの「ラ・スタンパ」紙に寄稿するマルタ・オッタビアニ氏の話を聞こう。同氏はエルドアン大統領についての本を書いたジャ―ナリストだ。

事件ですべてが変わった


トルコで働くイタリア人ジャーナリスト、オッタビアニ氏 IJF

マルタ・オッタビアニ氏:2003年から13年まで、トルコで生活していた。トルコで外国人ジャーナリストとして働くことは容易ではなかったが、2013年までは怖いことはなかった。今は恐ろしいと思い始めている。それは、昨年夏のクーデター未遂事件以降、すべてが変わったからだ。

外国メディアは当局との関係で苦労する。ジャーナリストは仕事に直接関連して投獄されるわけではない。テロリズムやテロリズムのプロパガンダを行ったということで投獄されてしまう。

正直に言うと、このジャーナリズム祭の後でトルコに再入国できるかどうかも分からない。確実なことがない。

記者証ももらいにくなった。街中で撮影しているだけでも当局から質問を受けることもある。

でも、最大の問題は、外国人ジャーナリストに対するトルコ国民の態度がすっかり変わってしまったことだ。

最初に私がトルコに行ったとき、トルコの国民は外国人ジャーナリストに疑り深い態度を見せたが、今は怒りの感情をぶつけてくる。

エルドアン大統領は反EU、反西欧の姿勢を露わにしており、これが市民の態度に現れているのだろうと思う。国民投票に向けて在ドイツや在オランダのトルコ住民の支持を得るため、大統領はドイツやオランダをひどい表現を使って罵倒した(注:ナチズムと関連付けた)。反EU感情を作り上げるためだったと思う。

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