なんと、北朝鮮が「一帯一路」サミットに ?!--文在寅効果か?
ニューズウィーク日本版 / 2017年5月11日 20時13分
あれだけ暴れまわった独裁国家・北朝鮮が、なんと、中国が5月14日から主宰する「一帯一路」サミットに政府側代表を送ることが判明した。招聘状を受け取っていない韓国も参加を表明。文在寅効果がこんなところに...?
韓国と北朝鮮が手を挙げた
中国では5月14日と15日に「一帯一路」(陸と海の新シルクロード)国際サミットが北京で開催される。「一帯一路」は習近平政権になってから中国が提唱したもので、中国では今年最大の行事として、今年秋に開催される第19回党大会とともに重要視している。このサミットは初めて開催されることもあるが、何よりも「アメリカが抜けたことによるグローバル経済の覇者」としての中国の役割が決定的になるからだ。
初期のころ、習近平国家主席は、韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領を取りこんで、一帯一路とAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加させるべく、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長とは首脳会談もしていないのに、わざわざ自らソウルに行ってパク・クネさんとの親密ぶりをアピールしたことがあった。
ところが2015年末の日韓合意やTHAAD配備にパク・クネ政権が賛同したことなどから、「地上で最も嫌いな国は韓国」とばかりに、中国は韓国に対する経済的締め付けを強めてきた。
だからこのたびの国際サミットに関しても韓国に招待状さえ送っていなかったのである。
だというのに、文在寅(ムン・ジェイン)氏が大統領に当選することが見込まれた5月8日、韓国が積極的に手を挙げて、参加を表明。中国は大歓迎をした。
すると、その翌日の5月9日、今度はなんと、あの北朝鮮が「政府代表を送り込んで、サミットに参加したい」と意思表明をしたのだ。
文在寅氏は大統領に当選する前から北朝鮮との融和政策を唱えており、開城(ケソン)工業団地の再開を約束している。
米中蜜月で包囲網を張られた北朝鮮は、さすがにこれ以上核ミサイル威嚇外交で周辺を脅すことは賢明ではないと思ったのだろうか。中国政府系のウェブサイトによれば、中国外交部は5月3日辺りから「参加しないか?」と誘っていたようだ。
中国が望んでいるのは北朝鮮の非核化であり、戦争ではなく対話による解決だ。
これはきれいごとではなく、中国の利益に叶うか叶わないかの問題である。
北朝鮮が核実験をすると中国が放射能汚染を受けることになり、核やミサイルによる軍事強国が隣に出来あがるのは、中国にとってありがたくない。かといって緩衝地帯を失いたくもない。もちろん北朝鮮が核を持てば、韓国も日本も持つようになることが絶対に嫌だからなのだ。
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