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司法妨害って何? FBI前長官の議会証言の見どころ

ニューズウィーク日本版 / 2017年6月8日 17時54分

<トランプは、ロシア疑惑に関するFBIの捜査を止めようとしたのか。米議会で8日、トランプに解任されたFBI前長官コミーが注目の証言を行う。見どころをまとめた>

5月に電撃解任されたジェームズ・コミー前FBI長官が8日、米上院情報特別委員会が開く公聴会で証言する。最大の焦点は、ドナルド・トランプ米大統領が司法妨害を行ったとコミーが証言するかどうか。もしすれば、トランプの大統領の座にとって最大の脅威になる。

コミーはトランプの司法妨害について踏み込んだ発言を控える公算が高いとみられているが、コミーがトランプとの会話の内容や状況をどう証言するかによっては、第3者が司法妨害を認定できるかもしれない。

一問一答で解き明かしてみよう。

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──司法妨害とは何か?

米司法省の定義によると、司法妨害は、個人が進行中の捜査に「影響を与えるか、妨害するか、邪魔をする目的で不正に働きかける」行為。「不正に」の部分はとくに欠かせない要件だ。

不正な意図を示せるか

「(司法妨害を立証するには)不正な意図があったと証明しなければならない」と、元連邦検事のピーター・ザイデンバーグは本誌に語った。「トランプを弁護する人々は、トランプは単純な人間で悪気はなかった、単に物事のルールを理解していなかっただけだ、と弁明するかもしれない」

──なぜコミーの証言が注目されるのか?

コミーが作成したトランプとのやりとりのメモは、すでにメディアを通じて公表された。だが、トランプとの会話の内容やその時の状況について、コミーが公の場で証言するのは初めてだ。

トランプが、ロシア疑惑関連で解任されたマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)への捜査をやめさせようとしたとコミーが認め、トランプが具体的にどのような形で捜査の中止を求めたかがわかれば、トランプの不正な意図を証明する重要なカギになる。

「元検事の立場から見て、トランプがコミーと会話をする前に人払いをしたという事実は重要だ」とザイデンバーグは言う。「副大統領や司法長官にまで席を外させてまでコミーと二人きりになろうとしたのは、トランプに罪の意識があったからだろう」

ちなみに、コミーの証言のなかでもトランプの言動がFBIの捜査を実質的に左右したかどうかは問題にならない。重要なのはあくまで、結果ではなく意図だ。



──司法妨害の罪の重さは?

司法妨害は連邦犯罪に当たるが、トランプがすぐに刑務所に連れて行かれることはない。現職の大統領を訴追できるか否かについては見解が分かれるが、司法省法律顧問室はウォーターゲート事件の最中の1973年、現職の大統領を訴追することはできないという判断を下した。当時の結論はこうだ。「現職の大統領を起訴もしくは刑事訴追すれば、行政府が憲法で定められた任務を遂行する能力を損なう恐れがある」

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