政治活動にほとんど参加しない日本の若者
ニューズウィーク日本版 / 2017年6月14日 15時30分
<政治集会への参加やメディア・ネットでの意見表明など、日本の若者は具体的な政治活動にほとんど参加せず関心もない>
社会を変える合法的な手段は政治参加だが、一般市民ができる方法としては選挙での投票や政治活動がある。
日本人、とりわけ日本の若者の投票率が低いことは、過去の記事でもデータを示したことがある(「投票率が低い若者の意見は、政治に反映されない」2016年7月5日)。それでは、政治活動の方はどうだろうか。
政治活動には、デモ、署名活動、集会参加、政治家への陳情などいろいろあるが、これらの実施頻度を国ごとに比較できるデータがある。ISSP(国際社会調査プログラム)が2014年に実施した『シティズンシップに関する意識調査』で、34カ国が対象となっている。
【参考記事】共謀罪法案、国会論戦で進まない対象犯罪の精査
調査では8つの政治活動(political action)の頻度を4段階で尋ねている<表1>。
8つの設問への回答を合成し、政治活動の実施頻度を測る尺度を作ってみる。「1」という回答を4点、「2」を3点、「3」を2点、「4」を1点とし、それらを合計する。この場合、調査対象者の政治活動のレベルは8~32点のスコアで測られる。全部「1」を選んだ回答者は32点となり(4点×8=32点)、その対極は8点となる。
このやり方で、日本の20代(111人)の政治活動スコアを出し、平均値を出すと11.9点となる。同じアジアの韓国(14.6点)やアメリカ(17.6点)と比べるとだいぶ低い。34カ国の20代の政治活動スコアを高い順に並べると<図1>のようになる。
日本は下から3番目に位置している。社会的な統制が強いためか、旧共産圏の2国(ロシアとハンガリー)は日本よりも低い。グラフの上をみると、若者の政治活動が最も活発なのはスウェーデンだ。この国の高福祉は、国民の政治活動の活発さと関係しているのかもしれない。
このスコアは政治活動のレベルを測る総合尺度だが、政治活動といってもいろいろある<表1>。どういう活動の実施頻度で差が出ているのか。主要国を取り出して、詳しく見てみる。<表2>は、それぞれの活動を「過去1年以内にやったことがある」人の割合を国ごとに整理したものだ(表2中の「瑞」はスウェーデンのこと)。
黄色は7カ国の最高値、青色は最低値だが、どの活動の実施率も日本が最も低い。デモや政治活動への参加率はどの国も高くないが、署名活動や商品ボイコットの経験率は欧米と日本ではかなり開きがある。
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