人類滅亡に備える人類バックアップ計画
ニューズウィーク日本版 / 2017年6月23日 19時30分
<人類滅亡は遠からず不可避と確信する世界の科学者たちが、「終末」後に人類を再起動するためのバックアップ計画を作りはじめた>
NASA(米航空宇宙局)は今月、太陽系にある10個の小惑星を、大きさと軌道計算に基づいて「潜在的に危険」と分類した。
NASAは、地球付近で693個の天体を発見している。2013年から地球の脅威となる天体を探査しているアメリカの広域赤外線探査衛星(WISE)のおかげだ。
10個の小惑星が地球にどんな危険を及ぼすのか、NASAは詳細を明かしていない。だが過去には小惑星が地球に衝突して甚大な被害を及ぼした例がある。1つの小惑星か彗星が地球に衝突したことが、約6000万年前に恐竜が絶滅する引き金になったのはほぼ間違いない。
観測されたことのない複数の小惑星が地球の近くを通過するのは毎年のことだ。通過の2~3日前になって突然警報が出ることもたまにある。今年は小惑星が2度地球に最接近し、5月は地球に1万5000キロの距離まで近づいた。宇宙では間一髪の距離だ。小惑星衝突の危険は、決して絵空事ではない。
だがある日突然人類や地球上の生命を絶滅させかねないのは小惑星だけではない。
今こうしている間にも、前例のないペースで生物種が絶滅している。人類が登場する前と比べて1000倍のペースで絶滅が進んでいるという2014年の試算もある。1年ごとに、200~2000種が絶滅しているとみられる。
「最後の審判」を生き残るには
だとすれば、人類の滅亡もそう遠くないと思うのが自然だろう。すぐではないとしても、1~2世紀内にはその日がくるのかもしれない。
迫りくる人類滅亡に対し、我々は何ができるだろうか。地球温暖化対策に取り組み、小惑星を追跡するシステムを開発し、衝突しそうな小惑星の軌道をそらせる技術を導入することはできるだろう。
だが、予測不能の災厄に襲われた場合に備えて、人類にはバックアップが必要だ。人類が滅亡してしまった後、すなわち「最後の審判」が下った後の地球で再び人類を再生し、繁栄させるために。
地球上の生物をバックアップする試みは既に始まっている。1970年代以降、世界中の科学者が、絶滅の恐れがある種子の保存を開始した。今では世界のあちこちに多数の種子バンクや種子貯蔵庫が存在する。
有名なのは、北極点から約1300キロのノルウェー領スバールバル諸島にあるスバールバル世界種子貯蔵庫だ。あえてこの場所が選ばれたのは、寒冷地の冷たく乾燥した岩の貯蔵庫を使えば安全に長期の保存ができるからだ。
この記事に関連するニュース
-
【少子化対策】男性が将来のために自分自身の精子を保存する『精子凍結みらいバンク(TM)』サービス提供開始 ミツボシプロダクトプラニング(株)
PR TIMES / 2024年5月13日 14時45分
-
流れ星に願いをかけるのはなぜ? 小惑星・彗星から宇宙の謎にせまる
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年5月7日 11時10分
-
準衛星「カモオアレワ」を生み出したクレーターを特定? 月起源説を後押し
sorae.jp / 2024年5月6日 22時46分
-
小惑星の軌道を変えるNASAの実験で飛び出した岩が将来火星に衝突するかもしれない
sorae.jp / 2024年4月25日 21時25分
-
九大、卵子と精子のエピゲノム修飾「DNAメチル化」に関する謎の一端を解明
マイナビニュース / 2024年4月25日 20時33分
ランキング
-
1イラン大統領死亡、墜落ヘリは1960年代開発の米国製ベル212…制裁下で部品調達困難
読売新聞 / 2024年5月22日 0時28分
-
2中国外相、台湾新総統を批判 「国家と祖先を裏切る」
ロイター / 2024年5月21日 19時50分
-
3解任のロシア軍司令官を逮捕 前線の窮状訴え、詐欺容疑
共同通信 / 2024年5月21日 23時2分
-
4戦術核兵器の演習開始=ウクライナとNATO威嚇―ロシア国防省
時事通信 / 2024年5月21日 23時57分
-
5ICCの逮捕状請求にイスラエル首相「恥知らずの決定だ」…バイデン大統領も「言語道断」
読売新聞 / 2024年5月21日 10時7分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください