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ヘンリー王子が語った母の死と英王室(前編)

ニューズウィーク日本版 / 2017年7月25日 18時0分

この4月には英テレグラフ紙のポッドキャスト番組で、母の死をめぐる悲しみにふたをしたことで2年ほど「大混乱」に陥り、「破綻寸前」までいったと明かしている。そして28歳の時、ウィリアムの勧めもあって専門家に助けを求めたという。

「今では現実を直視して、周囲の人の声に耳を傾けるようになった。そして自分の立場を何かに役立てようと思っている。今はやる気満々。慈善事業も人を笑わせることも好きだ」と彼は言う。「今でも、自分が金魚鉢の中にいるような感覚を覚えることがある。でも自分を見失うことはなくなった。まだやんちゃな部分もあるが、だからこそ問題を抱えた人々に共感できる」



大切にしているのは「普通の生活」を維持することだ。「母は兄と私に、積極的に普通の人々の生活を見せてくれた。おかげで今も現実から完全に切り離されてはいない。兄も私も、けっこう普通の生活をしている。買い物にだって自分で行くんだ。将来、運よく子供に恵まれたら、彼らにもそうさせたい」。そして「たとえ国王になっても、自分で買い物に行く」。

「普通」と「神秘性」の両立

普通でありたいという彼の思いは恋愛にも反映されている。恋人のメーガン・マークルは有名女優だがアメリカ人で、活発に発言するフェミニストで、離婚歴もある。まあ、イギリス王室の配偶者らしくはない。

しかし、そのマークルや彼女との関係を守るために王子は頑張っている。昨年11月にはケンジントン宮殿が、王子の要請を踏まえて声明を発表した。マークルに対する「一連の嫌がらせや、ある全国紙の中傷、人種をにおわす発言やソーシャルメディア上での露骨な性差別、人種差別」に抗議し、「王子はマークルさんの安全を懸念しており、自分が彼女を守れずにいることに深く失望している。まだ数カ月の交際をこんなに騒ぎ立てるのは正しくない」とする声明だった。

王子に近いある人物によれば、彼はプロポーズを急いでいないらしい。「2人はうまくいっているが、長い付き合いではない。極めて特殊な環境で普通の恋愛関係を続けていけるのか、2人で模索していく必要がある。年内に何か動きがあるとは思えない」

王室が「普通」になり過ぎると、その神秘性が薄れてしまう。そんな心配はないのだろうか?「巧みなバランスが必要だ」とヘンリーは言う。「神秘性は薄めたくない......英国民も世界も、そうした存在を欲しがっている」

【参考記事】ダイアナ元妃は、結婚前から嫉妬に苦しんでいた

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