日本の「料理人帯同制度」は世界でも少数派 おもてなしの是非
ニューズウィーク日本版 / 2017年8月14日 20時0分
日本の場合は、外務省の外郭団体である「国際交流サービス協会」が日本料理のできる料理人を中心に登録していて、赴任する大使に紹介する。大使と料理人の間で給与面など条件を話し合い、折り合えば帯同することになる。大使の中には料理人の腕を確かめるため、赴任前に自宅に呼んで作ってもらうこともあるという。
大使経験者は異口同音に「公邸料理人帯同制度」を支持する。「誰でも行けるレストランでもてなすのと、大使公邸でもてなすのとでは全く違う」と。
レストランはビジネスライクな場であり、公邸のようにひとときを共有する親密でくつろいだ雰囲気は持てない。また、レストランは誰でも行けて、知っている人には新鮮味がないが、日本大使公邸は「町場では食べられない日本料理を出す」のが誘いの殺し文句であり、招かれて喜ばない人はまずいない。
ある大使経験者は筆者にこう語った。「おいしい料理を出す大使公邸と言う評判が立つと、めったに顔を出さないような人も来てくれます。そうすると『あそこに行けば珍しい人に会える』とさらに人が集まります。情報収集、人脈作りといった外交基盤強化の上で、『公邸料理人帯同制度』は重要なツールであり、私も大いに活用し、役立てました」
筆者もこの制度は「日本食の普及」という点で、小さくない役割を果たしたと思っている。大使公邸に招かれるのは、その国で発言力、影響力を持った人たちが多い。政治家、実業家、官僚、知識人、芸術家...。彼らは1960、70年代、大使公邸で日本料理のおいしさを知り、知り合いや友人に口づてに広がり、これが日本食ブームの下地を作ったと思われる。
「日本料理はコンテンツ」と紹介した訳は?
河野氏の批判は十数年前のこと。今なお持論なのだろうか。「ごまめの歯ぎしり」を読んでいて面白い話が目に入った。13年3月28日の項だ。
欧州連合(EU)のブロック欧州議会外務委員長が来日し、シュバイスグート駐日EU大使が前日(3月27日)に晩さん会を催した。ブログに河野氏はこう書く。
【参考記事】ユネスコの自然文化遺産登録で「和食」の世界は広がるのか?
【参考記事】アメリカ流「餃子の作り方」に物申す⁉
「明石康元国連事務次長、川口順子元外務大臣などとご一緒に私もお招きをいただき、キプロス問題、カラジッチ裁判、北朝鮮問題、EUの意思決定のしくみ等々をテーマにした話が続きましたが、なによりも驚いたのが晩餐会の料理でした」(かぎかっこ内は原文ママ)
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