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強気の北朝鮮 メディアが報じなかった金正恩の秘密演説

ニューズウィーク日本版 / 2017年9月14日 19時24分

そして対米決戦でさらなる制裁を受けても耐えよ、と諭しているだろう。ひょっとすると第2の「苦難の行軍」が待ち受けているかもしれないとの人民への予告の可能性すらある。



弱気になる?正恩

さらに祖父や父譲りの「度胸」があったとしても、金正恩自身、ここに来て弱気になっているのではないかとも思われる。6回目となる核実験、その発表に異変があったからだ。午後3時30分からの朝鮮中央テレビの重大報道はまず、この日の午前に朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会が開かれた、と報じたのだ。

これまでの核実験報道では、いきなり実験の成功を伝え、金正恩が命令書にサインする写真を流したが、今回はスタイルが違った。金正恩が軍需工業部からの報告書類を手にあれこれ説明し、それを金永南(最高人民会議常任委員長)、黄炳瑞(朝鮮人民軍総政治局長)ら政治局常務委員が聴き入るシーンが映し出された。真筆書はその後である。

きちんと手続きを踏んでの決定だと言わんばかりの報道だが、金正恩が独断専行のイメージを嫌ったか、想定を超える制裁などで政権が窮地に陥った場合の批判をかわす予防措置だったのかもしれない。

ビッグ・ストーリーの主人公である金正恩、だが、その内心は揺れているのではないかと筆者は思う。

金正恩(キム・ジョンウン)、平壌(ピョンヤン)、金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)、白頭(ペクトゥ)、金永南(キム・ヨンナム)、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)


[執筆者]
鈴木琢磨(すずき・たくま)
毎日新聞社部長委員
1959年大津市生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒、82年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」時代から北朝鮮ウオッチを続け、現在、毎日新聞社部長委員。著書に『金正日と高英姫』『テポドンを抱いた金正日』、佐藤優氏との共著に『情報力』などがある。

※当記事は時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」からの転載記事です。




鈴木琢磨(毎日新聞社部長委員)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載


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