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対北朝鮮「圧力一辺倒」は日本だけ?

ニューズウィーク日本版 / 2017年10月10日 17時20分

ロシアはプーチン演説にもある通り「前提条件なしで北朝鮮との対話に向かうべき」としており、むしろ「米露が対北対話路線を競争している」感さえにじませている。

ティラーソン、直接接触を公表

アメリカは北京を訪れたティラーソン米国務長官が、堂々と「アメリカは平壌と複数の独自チャンネルを持って北朝鮮と直接接触を試みている」旨の発表をした。トランプ大統領はそれをすぐに否定し、「私は、われわれのすばらしい国務長官に『小さなロケットマンと交渉しようとして時間をむだにしている』と伝えた」とツイッターに書き込んだ。するとマティス米国防長官がトランプとティラーソンの間を取り持って「いや、アメリカは接触を試みているだけで、直接交渉はしていない」という苦しい弁明を試みているが、「アメリカが北朝鮮との複数の独自の対話ルートを持っている」ことだけは確かだろう。

韓国は対話路線

韓国の文在寅大統領は北との対話路線を主張して当選した。戦争はもう沢山だというのが韓国国民の本音だろう。しかし朝鮮戦争を休戦させようとしたアメリカのトルーマン大統領に対して、「いや、絶対に休戦したくない。韓国一国だけでも戦い続ける」とダダをこねたのは、他ならぬ韓国の李承晩大統領だったことを忘れてはならない。

だからトルーマンはやむなく、休戦協定を結ぶと同時に韓国と軍事同盟を結ばざるを得なかったのだ。休戦協定では「3ヵ月以内に朝鮮半島から全ての他国の軍隊は撤退する」と誓いながら、米韓軍事同盟では「(米韓どちらかが嫌だと言い始めない限り)米軍は未来永劫に韓国から撤退しない」と誓い、両方の文書に署名した。
この第一責任は韓国にある。

それに応えたアメリカにも、大国としての責任があるが、問題は休戦協定は「国連軍代表としてのアメリカ」が署名したのであり、米韓軍事同盟は「韓国とアメリカの二国間」の協定に過ぎないということだ。




日本は?

さて、日本。安倍首相はあくまでも「圧力によって北朝鮮政権の考え方を変えさせる」と主張し続けているが、プーチンの言っている通り、北朝鮮が経済制裁などの圧力ごときで考え方を変えたりするはずがない。これは夢物語に過ぎない。

軍事的手段を行使するなら別だ。アメリカか中国が軍事行動に出るならば、北は崩壊するか、あるいは崩壊の瀬戸際に立ち変化が起こり得るが、それ以外では「北朝鮮の考え方を変えさせる」などという夢物語はないだろう。

また「対話のための対話」という意味不明な常套句を頻繁に使っているが、いったいどこの世界に、この緊迫した中で「対話のための対話」などということがあり得ようか?北の暴走を止めさせるための対話であって、それ以外の対話が存在するとはあり得ない。過去に失敗した例が数多くあるのは承知している。しかし今は中朝関係がまるで違う。歴史上最悪の関係にあり、中国の国力が明らかに優っている。いざとなれば、何でもやるだろう。中国はまだいくつものカードを使わずに持っている。

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