対北朝鮮「圧力一辺倒」は日本だけ?
ニューズウィーク日本版 / 2017年10月10日 17時20分
先般、日本記者クラブにおいてだったか、党首討論で会場にいた記者から「安倍さんは圧力一辺倒を主張しているが、水面下の接触はあるのか?」といった趣旨の質問があったように思う。すると安倍首相は「それは水面下ですから(あったとしても...)」というニュアンスの回答をしていたように記憶する。
それは確かにそうだろう。水面下の話をするのは筋違いかもしれない。
しかし、北朝鮮をめぐる六ヵ国協議に参画している国の中で、日本以外の国は全て、独自の対話チャンネルを持っていてそれを表明しており、今やその「独自の対話チャンネルに誰が先手を打ち、北朝鮮を"手中"に治めるか」の競争をしているという様相を呈しているとさえ言えよう。
朝鮮戦争の国連軍の本部は今も日本にある
「国連軍」という言葉をネットで検索しても分かる通り、国連軍には大きく分けて2種類あり、一つはいわゆる平和維持活動(PKO)のための軍隊で、もう一つは朝鮮戦争の際の国連軍である。後者の朝鮮戦争における国連軍は、1950年6月に始まった朝鮮戦争に対して、韓国不利と見たアメリカが国連に呼びかけて急ごしらえで組織した軍隊だ。
このとき日本はアメリカの占領下にあり、マッカーサーが日本に総司令部を置いていたので、アメリカを中心とする朝鮮戦争の国連軍の司令部も日本にあった。
1953年7月の朝鮮戦争休戦に伴い、本来ならこの朝鮮戦争国連軍は休戦協定の約束通り解散しなければならなかったはずだ。しかし米韓が軍事同盟を結んで、アメリカが休戦協定を守ろうとしなかった。日米安保条約を既に結んでいた日本は、アメリカの意向に沿って、休戦協定に違反した朝鮮戦争国連軍の施設を日本に置く羽目になった。
そのため、現時点でもなお、休戦協定に違反した朝鮮戦争国連軍の施設が、以下の在日米軍基地に設置して機能しているようだ。
●キャンプ座間 ●横須賀海軍施設 ●佐世保海軍施設
●横田飛行場 ●嘉手納飛行場 ●普天間飛行場
など。
このように、アメリカが休戦協定を違反し続け、それを支援し続けてきた日本の実態を覆い隠しながら、北朝鮮問題の真の解決などあり得るのだろうか?
いまや北朝鮮が「正常な精神と判断力を持っているとは思いがたい指導者」の下で動いている現状において、日本国民の安全を守るために「100%、トランプとともにいる」を主張し続けているだけでいいのだろうか?日本が安全でいられる「軍事的外科手術」があるのなら大変結構だが......。国連安保理で北朝鮮制裁決議が一致して採決されたと言っても、一致できる点まで中露に譲歩させた結果に過ぎない。
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