イージス艦事故の黒幕は北朝鮮か? 最強の軍艦の思わぬ弱点
ニューズウィーク日本版 / 2017年10月12日 18時50分
新任のソーヤー司令官は9月18日、原子力空母「ロナルド・レーガン」を中心とする第5空母打撃群を運用する任務部隊70の司令官であるチャールズ・ウィリアムズ少将と、事故を起こしたジョン・S・マケインとフィッツジェラルドが所属する第15駆逐艦戦隊司令官のジェフリー・ベネット大佐を更迭、後任にはそれぞれマーク・ダルトン少将とジョナサン・ダフィー大佐が就任した。
米海軍は事故の原因を人的要因と見て、艦隊司令官、事故艦が所属する駆逐隊司令官から事故艦の艦長に至るまで、事故に関係する司令官の責任を仮借なく追及する姿勢を見せたことになる。
ただ、フィッツジェラルドに続いてジョン・S・マケインも衝突事故を起こしたことで、相次ぐ事故はサイバー攻撃を受けたことに原因があるのではないかという見方がくすぶっている。
サイバーの可能性否定せず
リチャードソン作戦部長は、8月21日に公式ツイッターで「サイバー攻撃やサボタージュの証拠を示すものは今のところ無いが、すべての可能性を念頭に調査を継続する」と発言し、サイバー攻撃の可能性を含めて調査を継続していることを示唆した。
9月14日にワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)で「サイバー戦争と海事ドメイン」をテーマとするシンポジウムが開催された。基調講演を行った海軍の作戦部長補佐(情報戦担当)ジャン・タイ中将は質疑応答で、2件のイージス艦の事故とサイバー攻撃の関係を質問され、「今のところサイバー攻撃によって生じたという証拠は見つかっていない」としつつも、調査団はさまざまな分野の専門家により構成されており、その中にはサイバーセキュリティーの専門家も含まれているとした。
タイ中将はその際に「サイバー」という言葉を3回繰り返して強調し、サイバー攻撃の可能性も否定していないことを暗に示唆したという。
また、米軍艦船に被害を与えることを狙って、フィッツジェラルドやジョン・S・マケインに対して直接サイバー攻撃を行うのではなく、航路上の民間船舶に対してサイバー攻撃を行うことで事故を発生させた可能性も指摘されている。一連の事故に先立つ5月9日、原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする空母打撃群の巡洋艦「レイク・シャンプレイン」が韓国沖合の公海上で漁船と衝突する事故を起こしているが、この事故とサイバー攻撃との関係を疑う声も出て来た。
この事故では特に死傷者は無く、大事には至らなかったが、一部の報道によれば漁船は通常機能しているはずのすべての無線装置や全地球測位システム(GPS)装置が全く作動しておらず、極めて不自然な状況にあった。サイバー攻撃によって、漁船の通信機器類に障害が発生していた可能性があるという。
この記事に関連するニュース
-
訓練の高度化も一因か=7人不明、機体の捜索難航―海自ヘリ墜落事故1週間
時事通信 / 2024年4月27日 9時46分
-
ロシア黒海艦隊「最古の艦艇」がウクライナ軍による攻撃で大破か...衝撃映像が拡散
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月26日 17時10分
-
大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月15日 20時55分
-
ほぼ“戦わない旗艦” マッカーサーも乗った「揚陸指揮艦」が生まれたワケ “生き残り”は今も日本に
乗りものニュース / 2024年4月13日 18時12分
-
ロシア黒海艦隊 クリミアからついに後退か「ミサイル攻撃可能な艦は1隻のみ!」ウクライナ海軍が発表
乗りものニュース / 2024年4月5日 11時42分
ランキング
-
1ロシア、化学兵器使用か 米が制裁強化
AFPBB News / 2024年5月2日 15時18分
-
2ラファ侵攻の方針譲らず イスラエル、強硬姿勢維持
共同通信 / 2024年5月2日 23時9分
-
3日本経済低迷の理由、バイデン氏「外国人嫌いで移民望んでいないから」…移民受け入れの利点強調
読売新聞 / 2024年5月2日 17時54分
-
4ロンドン市長選の投票実施 開票は4日、3選目指すカーン氏に「排ガス規制」のアキレス腱
産経ニュース / 2024年5月2日 16時28分
-
5ベトナム国会議長が正式辞任 序列4位、政情不安に懸念
共同通信 / 2024年5月2日 21時53分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください