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国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・後編)

ニューズウィーク日本版 / 2017年10月20日 17時33分

《主な関与判決》
・NHKスペシャル「JAPANデビュー」(2009年放送)の中で、日本の台湾統治時代、1910年開催の日英博覧会に台湾住民の暮らしを写真で展示したことについて、西欧列強が植民地の住人の暮らしを「人間動物園」として紹介したやり方を真似たと伝えた点につき、「深刻な人種差別的意味合いを持つ」ものとした高裁の判断を破棄し、名誉毀損はないと結論づけた(※裁判長でないが、裁判の合議に関与)。

・2002年から、訴額140万円以下の簡裁代理権が付与された司法書士が、消費者金融等への過払い金返還請求を受け持つ場合、「140万円以下」とは、過払い金(依頼人の利益)の額でなく、貸主の請求額であると、司法書士業界にとって厳しい判断をした(※それ以上は弁護士の職域)。

・私立短大が「1年ごとの更新・上限3年」の条件で雇った非常勤講師の女性を、子育てや体調不良を理由に1年で雇い止めにした件を、不当な解雇と判断。「3年経過後に雇用継続か否かを判断すべきだ」として、2年分の未払い給与の支払いを命じた。

・諫早湾(長崎県)干拓事業問題。潮受け堤防の排水門を国が開けない期間中、漁業者へ支払うべき強制金を45万円/日 から90万円/日への引き上げを許容。財源は公費(※なお、開門した場合にも農業者へ49万円/日の補償を支払うことになっている)。

・女性の再婚禁止期間を6カ月から100日に短縮すること、ならびに夫婦で同じ苗字を名乗る制度が合憲であることを確認した大法廷意見に賛同した。また、再婚禁止期間の適用例外について共同補足意見を書いている。



6:「加計学園の役員だったけれど......」木澤克之

立教大法卒・弁護士出身・東京都出身
就任:2016年7月19日/定年:2021年8月26日

《プロフィール》
新宿区の法律相談を担当し、法務省の人権擁護委員を歴任。立教大学出身者で初の最高裁判事。

獣医学部の新設認可をめぐって安倍首相の関与が疑われている学校法人「加計学園」の監事を務めていた時期がある。加計学園理事長も立教大出身であることから、この任命について国会でも問題視された。なお、他の弁護士出身判事と同様、日弁連の推薦を受けている。

2017年3月30日、民進党(当時)の木内孝胤議員が衆議院地方創生特別委員会で質問に立ったところ、まるで日弁連の推薦なしに木澤弁護士が最高裁判事に選ばれたかのような、事実誤認に基づく質問があった。山口厚判事の件と混同したとみられる。

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