「社員の生産性」より「より良い仕事体験」が主流に
ニューズウィーク日本版 / 2017年10月27日 16時9分
要は仕事と生活のプラットフォームが同じになったということです。ネットワークド・オフィスからフュージョンオフィスへの変化は視覚的にはとらえにくいですが、本質的な部分では大きく変化していると思います。
好むと好まざるとに関わらず、ますます多くの人が週末に働くようになるでしょう。「企業が自分の人生を支配している」とか「制度が自分の人生を支配している」と嘆くことになるかもしれません。終業ベルが鳴って退社すれば仕事から解放された時代はもう過去のもので、今はそうとは限らない。常に仕事がそばにある状態なので、とても複雑です。
ビジネスの技術的側面だけでなく、社会的側面も管理するのがスマートビル
技術の進化がワークスタイルに与える変化ということでいえば、人工知能の発達は1つのトピックといえるでしょう。一部の職種は人工知能に取って代わられることもあるでしょうが、これは取り立てて新しい現象ではありません。これまでも機械化により事務員や工場の組立工が転職を余儀なくされてきたわけですから。
本当に興味深いのは人工知能、ニューラルネットワーク、インタラクティブ・コンピューティングといった技術が、ワークプレイスにどんな波をもたらすかということです。コンピュータを増強された知能とみなして、人間が制御し、管理し、活用して、より多くの仕事が生まれる可能性もあります。
全てがネットワーク化されたスマートビルでも、セキュリティやエネルギー制御などにおいてロボットが活躍することになるでしょう。IoTの進化により、その変化は避けられないと思います。
ビル全体が1つのシステムで有機的につながる
1990年代から続いてきたビル管理システムは、冷暖房や換気、エネルギーなどのシステムを制御するものです。一方で、セキュリティ、訪問者管理、照明といった他系統のシステムがあります。これらはシステムを共有していないため、有機的なつながりを持つことができません。
しかしスマートビルではインテリジェントビル管理システムが稼動します。各デバイスがインターネットで接続され、きめ細かい制御ができるようになりますし、ユーザーのスマートバッジや携帯電話、タブレットなどを通じて建物内の人物の動きを全て検出することもできます。しかもこのシステムはオープンプロトコルで提供されているので、実現のハードルは技術的にはそれほど高くありません。
ゆくゆくはビル内の全ての重要な機能を一括管理できるようになるでしょう。また、ビルの中にいる人々の行動を、1つのビジュアルインターフェイスでリアルタイムに観察し、対応することができるようになります。
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