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北朝鮮経済の「心臓」を病んだ金正恩─電力不足で節約に必死か

ニューズウィーク日本版 / 2017年11月8日 11時0分

われわれは党に対する確固とした信頼と未来に対する楽観を抱き、祖国と人民のために誠実に働いている電力工業部門の労働者、技術者たちをいたわり、大事にしなければなりません。電力生産者たちの食糧、副食、労働保護物資を十分に保障し、文化厚生施設もきちんと整え、特に彼らの健康によく配慮しなければなりません。電力生産者たちが誇りや栄誉の気持ちを持って働けるように党としても社会としても優遇し、彼らに良い生活条件をつくってやらなければなりません>

「次の世代は電力安定を」

現場の労働者へは優しい。演説はあくまで幹部を叱責しているのだ。だが、金正恩は最高指導者として思うに任せぬ現実の前で日々、焦燥感を募らせているかもしれない。演説はこう締めくくられている。

<わが世代が苦労したとしても、国家の電力工業を必ず立て直し、後世の代は電気での苦労を知らないようにすべきです>

まだ30代、まだ執権5年目の金正恩がもう「後世の代」に言及しているのはどうしたことか。筆者には意外である。核・ミサイルでの「対米決戦」発言との落差が激しすぎる。そういえば、金王朝の4代目が誕生したとの未確認情報がある。経済の「心臓」を病みつつ、なおも金正恩は長く険しい孤立の道を歩もうと決意しているのだろうか。


平壌(ピョンヤン)、金正恩(キム・ジョンウン)、黎明(リョミョン)、金正日(キム・ ジョンイル)、茂島(ムド)、延坪島(ヨンピョンド)、朴槿恵(パク・クネ)、文在寅(ムン・ジェイン)

[執筆者]
鈴木琢磨(すずき・たくま)
毎日新聞社部長委員
1959年大津市生まれ。大阪外国語大学朝鮮語学科卒、82年毎日新聞社入社。「サンデー毎日」時代から北朝鮮ウオッチを続け、現在、毎日新聞社部長委員。著書に『金正日と高英姫』『テポドンを抱いた金正日』、佐藤優氏との共著に『情報力』などがある。

※当記事は時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」からの転載記事です。




鈴木琢磨(毎日新聞社部長委員)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載


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