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トランプ、中国に知財制裁──在米中国人留学生の現状から考察

ニューズウィーク日本版 / 2018年3月26日 12時52分

1996年に立ち上げたということは、中国のWTO加盟を睨んだ上での戦略だったことは言うまでもない。今ではさらにグローバル化して、「侵害」の境界線を引くことさえ危うくなっている。

中国人留学生の役割に気が付いたトランプ大統領

今年3月17日のウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ大統領が、中国人留学生のビザ発行やH-1B労働ビザ発行に関して、制限を設けることを考えていると報道した。実際、2017年にすでに前年比で17%、留学生の入国認可率が減少している。

もっとも、留学生受け入れはアメリカの産業という角度から見るならば、最も成功している「輸出産業」ということができ、2016年から2017年の1年間だけで、全米の大学が中国人留学生から受け取った収入(学費)は、114.3億米ドル(日本円で1.197兆円)だと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

その損失を覚悟してでも、知的財産が中国に流出してしまうことにトランプが警鐘を鳴らそうとしているのは価値があるのではないだろうか。

今年2月20日付のコラム「孔子学院が遂にFBI捜査の対象に」に書いたように、アメリカは中国政府のプロパガンダ(とスパイ活動)の巣窟と化している孔子学院に捜査のメスを入れ始めたが、ここに来て世界が中国化するのを防ぐ要素に視点を向けたのは歓迎すべきだろう。トランプ大統領の保護貿易傾向の是非とは別に、この側面を見逃さないようにしたいものである。



[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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