「英雄」で「善人」のマケインはなぜ大統領になり損ねたのか──それはアメリカが変わってしまったからだ
ニューズウィーク日本版 / 2018年8月29日 19時48分
リーダーとしてのアメリカを提唱
マケインはアメリカの力の優位性を主張し続けた。彼はアメリカのリーダーシップと、自由、資本主義、人権と民主主義に基づく世界秩序から手を引こうとする動きを非難した。
ドナルド・トランプの立場は対照的だ。オバマと同じように、トランプはコストの高い国外での活動を終結させ、「アメリカ第一」になっていない防衛・貿易協定を取り消し、アメリカの崩れかけたインフラの再建を約束する。
大統領就任時、トランプはアメリカの力と資源が世界を守るために浪費されていると主張した。彼に言わせれば、他の国々はアメリカの気前の良さを、利用している。
議会共和党は、アメリカの軍事介入や反乱鎮圧活動、国造りの支援について慎重になっている。シリア内線への軍事介入には、国民の支持はほとんどない、と彼らは感じている。
マケインはロシアをアメリカにとって不倶戴天の敵と見て、対ロ制裁法案を後押しし、より積極的に実施するよう政府に求めた。
フィラデルフィアで自由賞を受賞した時は、世界のリーダーシップに対するトランプのやり方を否定した。
マケインはこう宣言した。「世界中で人類が進化させてきた理想を放棄し、問題を解決するよりもむしろスケープゴートを探そうとする人々がでっちあげた不完全なまがい物のナショナリズムのために、世界のリーダーとなる義務を拒絶することは、 アメリカ人が過去のものとして捨て去った古臭いドグマに固執するのと同じくらい愛国心に欠ける行為だ」。
マケインは、原則を貫くことに生涯を捧げた。残念ながら、アメリカはその原則を以前ほど好きではなくなった。それはアメリカという国を危険にさらすことになるかもしれない。
(翻訳:河原里香、栗原紀子)
Elizabeth Sherman, Assistant Professor Department of Government, American University School of Public Affairs
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
エリザベス・シャーマン(アメリカン大学公共政策学部、准教授)
この記事に関連するニュース
-
トランプ暗殺未遂で「団結」を実現した共和党、分裂に直面する民主党
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 15時0分
-
トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟
東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時0分
-
副大統領候補のバンス氏は「有能かつずる賢い」共和党大会にトランプ氏が出席 事件の影響は【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月16日 21時16分
-
死免れたトランプ氏、「神に祝福された候補」と支持者 神格化に懸念も
ロイター / 2024年7月16日 11時46分
-
出口の見えないイスラエルとハマスの戦い。アメリカが長年ユダヤ国家に肩入れし続ける本当の理由とは? 『聖書の同盟 アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか』KAWADE夢新書より6月21日発売!
PR TIMES / 2024年6月20日 10時45分
ランキング
-
1韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 15時55分
-
2血まみれで逃げる患者…「一線超えた」ウクライナの小児病院医師、露のミサイル攻撃を非難
産経ニュース / 2024年7月17日 15時32分
-
3ウクライナ侵略開始後、動員や弾圧避けるためロシアから65万人流出か…露独立系メディア集計
読売新聞 / 2024年7月17日 18時23分
-
4フィリピンで日本人4人拘束 日本から逮捕状 カンボジア拠点の詐欺グループか
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月17日 11時23分
-
5オマーンでシーア派モスク襲撃6人死亡、「イスラム国」が犯行声明
ロイター / 2024年7月17日 9時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください