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『新潮45』休刊の背景──貧すれば鈍する名門雑誌の最期

ニューズウィーク日本版 / 2018年9月28日 16時0分

今回の『新潮45』休刊で、同誌は「ヘイト雑誌だ」「ネトウヨ雑誌だ」などと散々誹謗があるが、この連載陣をみて「ネット右翼的である」と思う人はいないだろう。

2018年8月号の杉田水脈代議士の寄稿『「LGBT」支援の度が過ぎる』と併せて、今回新潮社の代表取締役が声明で述べたように、



「新潮45」の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のある部分に関しては、それらを鑑みても、あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました。

出典:新潮社公式サイト

というの部分の、「ある部分」が自称文藝評論家の小川榮太郎による『政治は「生きづらさ」という主観を救えない』を指すことが明らかなように、この雑誌は特集や特別企画部分では極めてネット右翼に迎合し、当初から炎上上等の、エッヂの尖った姿勢を鮮明にしながら、雑誌後半を占めるの連載陣に至っては、「至極穏健な」寄稿で占められているという、極端な二重構造を有しているのだ。

なぜ『新潮45』の二重構造は生まれたのか

なぜ『新潮45』は、雑誌の半分がネット右翼迎合、もう半分は穏健という二重構造を内包する雑誌になったのか。それは、端的に、



『『新潮45』の実売数は1万部前後が続いており、雑誌単体では赤字という状況があった。部数の落ち込みを回復したいという焦り』

出典:(Abema TIMES)『新潮45』は「限りなく廃刊に近い休刊」

という報道に全てが集約されている。部数減少の回復を願う一心で、特集と特別企画はネット右翼に迎合的とする。しかし雑誌全体をその路線にしてしまうと、既存の穏健な讀物を好む定期購読者や読者が離れてしまう、というジレンマを抱えながら突進を繰り返した。



既に先行している『正論』(産経新聞社)、『WILL』(WAC)、『HANADA』(飛鳥新社)の「自称保守雑誌三巨頭」は、連載陣の細部に至るまで、「安倍支持」「反野党」「反左翼」「嫌韓・嫌中」などの古典的なまでのネット右翼迎合記事で徹頭徹尾締めくくられている。これは創刊当時からの該雑誌の姿勢が右派に軸を置いたモノだったのだから、当たり前だ。

これらの雑誌は、ネット右翼の中で、近年では特にCS番組やネットニュース番組などで直接書影が紹介されることにより、全体的な雑誌苦境の中でまだしも奮戦していると言って良い。部数減少で苦しむ『新潮45』が、この「自称保守雑誌三巨頭」の奮戦を傍らに観て、「四匹目のドジョウ」を狙ったと考えるのが妥当であろう。

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