データで見る「ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか」-「結婚のメリットがわからない」独身者の世帯(居場所)のカタチとは-
ニューズウィーク日本版 / 2018年11月9日 13時30分
1――はじめに:急増する「交際相手がいない」男女
筆者が日本の未婚化(2015年:50歳時点において男性の4人に1人、女性の7人に1人に結婚歴がない)についてデータ分析を行うようになってから、海外のメディアの問い合わせも少なくなくなった。
海外(特に多民族国家や移民の歴史が長い国)においては宗教上・民族上等の理由から1つのパートナー制度に絞らず、法的に複数展開していることがある。ゆえに「法律上結婚していない」事に関しては、日本がどうかはさておき「結婚制度の多様性の問題」という視点から、驚かれにくい。
しかし、次のデータに関しては「ありえない」という反応が高い確率で返ってくる(図表1)。
18歳から34歳の独身でいる男女のうち、異性の交際相手をもたない男女の割合を見てみると、2000年あたりから大きく増加し続けている。直近の2015年の調査では独身男性の7割、独身女性の6割に交際相手がいない。
調査対象となった年齢ゾーンが18歳から34歳というのを知るとますます「本当か。どうしてなのか。」とひたすら首をひねるのである。
彼らがいぶかしがるのも無理はない。
経済的にみるなら、もし独身者が経済的に自立して1人世帯という場合、それは最も非効率的なコスト構造(お金がかかる)の暮らし方である。
OECDの貧困世帯の定義に使用される計算でも、2人世帯では1人世帯よりもコストが7割にまで落とせることが示されている。光熱費や家賃など固定費を含む費用は世帯人数によって逓減しやすく、また食品もまとめ買いによって少量購入するより大きくコストを下げることができる。
経済原理でいえば、製品供給者側(売り手)からすれば「単身世帯」者は単価が高くなるために「儲かる相手」ではあるが、需要者側(買い手)にとっては単身世帯の暮らしは、消費コストが高い(コストが2人世帯より1.4倍程度も多くなる)ために、貯蓄に影響しかねない暮らし方なのである。
端的にいうと「お金持ちの遊興暮らし」としてはおすすめできるとしても、少なくとも金銭的な無駄を省きたい暮らしぶりを望む男女には最も向かない暮らし方なのである。
そこで、本レポートでは統計的には未婚化と非交際化が急増しているニッポンの独身者について、暮らしのコスト構造を大きく支配する世帯構造に注目し、一体彼らがどのような世帯構造で暮らしているのか、国勢調査の結果を用いて検証してみたい。
2――国勢調査に見る年齢別・男女別 「独身者」の割合
この記事に関連するニュース
-
時計はロレックス、車はベンツ、親の年金25万円で暮らす「53歳の働かない息子」…何不自由のない生活が突如終了「何かの間違いでは?」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年9月14日 6時15分
-
独身男女の「社内恋愛」に関する意識調査
PR TIMES / 2024年9月6日 14時40分
-
独身ミドル・シニア世代の約2割がパートナーを望むも、うち7割が踏み出せず
PR TIMES / 2024年9月5日 13時45分
-
38歳で独身、10年付き合っている彼女がいますが「結婚」すべき理由が分かりません。子どもを望んでいないのですが、お金の面での“メリット”はあるのでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月28日 5時0分
-
現代日本の「非婚」の増加は、日本全体が貧しくなっていることが原因か…「一般には子だくさんが嫌われていた」江戸時代化する日本の家族形態
集英社オンライン / 2024年8月24日 18時0分
ランキング
-
1中国の80歳“反骨の女性ジャーナリスト”がSNSで「生命の危機を覚える」と訴え 治安当局が自宅の固定電話や携帯電話、インターネットを遮断か
NEWSポストセブン / 2024年9月23日 7時15分
-
2バイデン米大統領、クアッド制度化狙い「くさび」 「もしトラ」に備え
産経ニュース / 2024年9月22日 19時9分
-
3ヒズボラ、対イスラエル攻撃激化=一斉爆発で「最初の報復」
時事通信 / 2024年9月22日 19時59分
-
4「全面戦争阻止へあらゆる手段」=レバノン情勢巡り米高官
時事通信 / 2024年9月22日 23時49分
-
5スリランカ大統領選挙、野党・人民解放戦線のディサナヤケ党首が勝利…初の再集計で三つどもえ制す
読売新聞 / 2024年9月23日 0時35分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください