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「暴力」がなければ「強姦」ではない!男寄りの判決相次ぐ

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月26日 17時30分

<レイプに「暴行(強姦)」と「虐待」の軽重があるスペインでは、抵抗できない女性に対する犯行や、犯行を録画していた「だけ」の加害者は、軽い刑で済んでしまう>

スペインの裁判所はこのほど、女性が同意していないのに性行為を強要、強姦の罪に問われていた男2人に対し、「暴力的」な行為がなかったとして強姦罪には相当しないとする判決を下した。

BBCによれば被害者は「性格的に弱かった」うえにアルコールを摂取していたため、被告らは暴力に訴えることなく性行為を行えたと判決文は指摘したという。

被告2人はおじとおいの関係で、性的暴行罪(強姦罪に相当)ではなく性的虐待罪でそれぞれ禁錮4年半の判決を受けた。BBCによれば、性的暴行罪が成立した場合、刑期は最長で15年になった可能性がある。

事件は昨年8月、スペイン東部カタルーニャ自治州リェイダ県で起きた。被告2人は被害者の女性とともにナイトクラブに行き、その後、女性を車の後部座席に連れ込んで性行為を強要したという。

公判で被害者は、男たちにやめるように頼んだと涙ながらに証言したとスペインの通信社エウロパ・プレスは伝えている。被害者は、やり返されるのが怖くて殴る蹴るの抵抗はできなかったという。

5人による集団暴行でも「性的虐待」

判決文によれば「被害者は弱い性格で、その上アルコールと抗うつ剤を摂取していたため、自衛能力が弱くなっていた可能性もある。犯行はそれにつけこんだもので、暴力的もしくは脅迫的な行為に及ぶ必要がなかった」。

そして暴力行為がなかったことから、性的暴行罪は適用できないと判断した。

4月にはスペイン北部パンプローナの裁判所が、女性に性行為を強要し、その一部始終を携帯電話で撮影した5人の男に対し、やはり性的暴行罪を適用しない判決を下した。

この判決に対して批判が高まったことからスペイン政府は7月、性的暴行罪の要件を定めた法律の改正を公約。BBCによればペドロ・サンチェス首相は議会に対し、改正法の下ではすべての当事者が明確に同意を示さなければならないと述べたという。「ノーと言えばそれはノーを意味するし、イエスと言わなかった場合もノーを意味する」と首相は述べた。

また、カルメン・カルボ副首相は改正法について「その人のセクシャリティに加え、意志と自由と尊厳」を守るものだと述べている。

エウロパ・プレスによれば、今回の2人の被告の弁護を担当したアグスティン・マルティネス弁護士は、控訴と保釈を求める意向を明らかにした。ちなみに同弁護士は、パンプローナの裁判でも被告らの弁護を担当したという。

(翻訳:村井裕美)


キャサリン・ハイネット

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