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米中対立はむしろ「熱戦」

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月28日 11時0分



顧問委員会の中で、投資ファンドに特化した会社のトップが委員を務めているアメリカ企業を、いくつか列挙してみよう。

●ジェネラル・アトランティック(General Atlantic)投資グループ(委員:ウィリアム・フォードCEO)

ジェネラル・アトランティックは 1980 年に設立され、成長企業に資本と戦略的支援を長期的に提供する株式投資会社だ。ニューヨーク、グリーニッチ、パロアルト、メキシコシティ、サンパウロ、アムステルダム、ロンドン、ミュンヘン、北京、香港、ムンバイ、シンガポールなどに 100 人以上の投資専門家を置いている。

●KKR社(投資ファンド)(委員:ヘンリー・クラビス共同創設者&共同CEO)

KKRは1976年に3人のユダヤ系アメリカ人「コールバーグ(Kohlberg)、クラビス(Kravis)、ロバーツ(Roberts)」の頭文字を取った社名で設立された。世界的規模を持つ投資会社で、ニューヨークに拠点を置く。同じユダヤ系アメリカ人であるキッシンジャー元国務長官と仲が良く、もちろんキッシンジャー・アソシエイツを通して中国入りしている。

●カーライル・グループ(The Carlyle Group)(委員:デイヴィッド・ルーベンシュタイン共同創立者&共同CEO)

カーライル・グループは、アメリカ、ワシントンD.C.に本拠地を置くプライベート・エクイティ・ファンド(投資ファンド)である。1987年に設立され、現在、バイアウト(株式を買い占めることや企業を買収すること)、グロース・キャピタル(企業が投資ファンド等からのリスクマネーを利用してM&Aを行い、企業価値を向上させていく投資)、リアルエステート(不動産投資)、レバレッジド・ファイナンス(企業が他の企業の支配権を獲得する際に、その被買収企業側の資産や将来のキャッシュフローなどを担保として買収資金を融資すること。レバレッジ:てこの作用)の4つの部門に分かれている。



●ブラックストーン・グループ(The Blackstone Group)(委員:シュテファン・シュワルツマン共同創立者&CEO)

ブラックストーン・グループは、アメリカの大手の投資ファンド運用会社で、最も大きな上場株投資会社の一つである。本社はニューヨークにあり、キッシンジャー・アソシエイツはブラックストーンの本社ビルの中にある。仲の良さが窺われよう。1985年に設立。世界各地に支社を持つ。シュワルツマンは習近平政権になってから清華大学に中国の若者を対象とした人材養成のための「蘇世民書院」を設立(蘇世民はシュワルツマンの中国名)。習近平とは非常に緊密で、中国のために貢献したいという熱烈な親中派だ。ブラックストーンが保有する資産には、軍事・衛星技術関連の会社が含まれると指摘されており、この技術が中国政府に渡らないようにアメリカ政府は懸念しているようだが、習近平とシュワルツマンの緊密さは増すばかりである。シュワルツマンは、トランプの古くからの友人だったこともあり、キッシンジャーの推薦によりトランプ政権誕生当初はトランプのブレインである大統領戦略政策フォーラムの議長を務めていたが、このフォーラムはメンバー(16人)の内の何人かがトランプの政策に反対したため、その後、解散した。トランプのブレインだった人物が習近平の傍にいて習近平を熱烈に応援しているのである。この現実を見て見ぬふりをしながら、米中関係の分析をすることは不可能だ。

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