60 歳を迎えて老後の生活資金を考える
ニューズウィーク日本版 / 2019年1月15日 19時0分
しかし、老後においては一般的に収入が少なくなるという特色を踏まえると、資産運用に関して、やった方が良いことや気をつけるべきことがあるので、いくつか私見を述べたい。
(1)資産運用の目的や成果イメージを明確化すること
資産運用の目的を「老後の生活資金確保」としても、まずはじめに、どのくらいのリターンやインカムが必要で、どのくらいのリスクを覚悟しなければならないかを考え、自分なりに納得する必要がある。このためには、自分で自分の性格を良く考える必要がある。損するのが絶対嫌な性格なのか、多少のリスクは許容するのか、それともリスクを取るのが好きなのかを自分で見極める必要がある。
その上で、自分で資産運用について勉強したり、ネットで情報を集めたり、資産運用に詳しい人に聞いたりなどし、最終的に、自分で適切な目的や具体的な投資目標を設定した上で、それに合致した投資の選択をしなければならない。こうしたことは結構面倒なプロセスであるが、最終判断は他人任せにしてはならないと思う。もし、自分で判断し自分で十分納得できる自信がないのであれば、無理をせず、銀行預金や個人向けの国債等で資産を守るのが無難であろう。
ただ、少額で良いので、損しても良い範囲で、今後有望だと思う好きな会社の株式にでも投資して、その後の状況を一喜一憂するという資産運用の楽しさも経験してほしいという気もする。
(2)騙されないこと
資産運用をするには信頼できる相手と取引するのが非常に重要で、銀行や証券会社等の金融庁登録の金融商品取引業者に取引先は限定すべきである。さらに言うと、金融商品取引業者であったとしても、安心できる取引先であるとは限らないため、信頼できる先を慎重に選定してほしい。
よく聞く「選ばれたあなただけに紹介する、とても良い投資の話がある」というお誘いは怪しい。それほど良い投資であれば、その人または会社が銀行から借入等して投資すれば良いはずだ。わざわざ一般の小口投資家にコストをかけて勧誘してくるのは怪しいと思わなければならない。
「リスクが少なく、リターンがかなり大きい」という投資の話も当然疑ってかかるべきだ。もし、そういう「素晴らしい投資商品」を勧められたら「どういう場合に元本が目減りしたり、リターンがマイナスになるのか」を質問することをお勧めする。「そういうことはまず無い。安心して下さい」という回答であれば、その投資商品への投資はすべきではないと思う。
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