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ボーイング最新鋭機はなぜ落ちたのか

ニューズウィーク日本版 / 2019年3月20日 19時15分

エチオピア航空の事故翌日、FAAは同型機は「耐空性要件を満たし」安全だとする通知を出した。「外部」から「今回と昨年の事故の類似性が指摘されているが、結論を出すのに十分な証拠もデータも出ていない」。

ところが他方で、FAAは737MAX機に対する改善命令を4月までに出す方針だ。それは、操縦士の訓練などを軽減するために導入されたMCASなどの「制御システムを強化」するためだという。

「北米以外の多くの航空関係者が何の根拠もなしに『危ない、危ないと騒ぎ』、運航停止を決めたことに心底驚いている」とFAAの元安全検査官ジェフ・ガゼッティは、米USAトゥデー紙への寄稿で述べた。



米国家運輸安全委員会の元幹部のピーター・ゴールズは、FAAがエチオピア航空の事故の翌日に通知を出したのは「MCASの搭載に懸念を抱き、その仕組みや誤作動時の対処方法について、操縦士たちに確実に理解させるためだ。こうした情報は、納入時に配布されるマニュアルや運用ガイドでは強調されていなかった」と語る。

ゴールズによれば、必要な情報は当初「マニュアルの中に埋没」していたので、FAAは操縦士がしっかり理解できるように強調しているのだという。さらに、アメリカ人パイロットを含む多くの操縦士は、ライオン・エアの事故が起きるまでMCASの存在に気付いておらず、訓練生の理解となると、さらに遅れている国があるとも指摘した。「途上国などでは、アメリカの航空会社ほどには訓練が行われていないだろう」

エチオピア航空302便から回収されたブラックボックスには何が? Baz Ratiner-REUTERS

運航開始1年半の事故

昨秋、サウスウエスト航空パイロット組合のジョン・ウィークス委員長は、米シアトル・タイムズ紙に、同社の操縦士もMCASについて「何も知らされていなかった」と述べている。

インドネシア沖でライオン・エア機が墜落したのは、737MAXの商業運航が始まってから1年半もたたない頃のことだった。事故原因の調査はまだ終わっていないが、MCASが自動的に作動し、勝手に機首を押し下げた疑いがある。しかも操縦士あるいは副操縦士がMCASを遮断しようとした形跡はないという。つまり、遮断できることを2人とも知らなかった可能性がある。

エチオピア航空機の機長は総飛行時間8000時間のベテランだった。だが副操縦士は200時間にすぎなかったと思われ、欧米の主要航空会社が求める水準には遠く達していなかった。

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