「一帯一路」参加でイタリアは中国の港になってしまうのか
ニューズウィーク日本版 / 2019年3月26日 15時8分
今後も予想される「勝手な行動」
習近平によるイタリア訪問の影響は、4月9日にブリュッセルで開かれるEU中国首脳会議でよりはっきりするだろう。だが首脳会談に先立ち、中国に対して懐疑的な見方を募らせているEUの指導部は、中国を「システミック・ライバル」とする公式の戦略文書を発表した。この中でEUは一帯一路では、中国に対してインフラや投資プロジェクトの分野における説明責任と透明性の向上を求め、EU一体となって圧力をかけていくよう加盟国に呼びかけている。さらに3月18日には全ての加盟国に対して、中国企業の公的調達プロジェクトへの入札を禁じるよう呼びかける提案を発表した。
イタリアがG7のメンバーであることは、中国指導部にとっても同国が一帯一路の正当性を主張する上でも大きな魅力だ。イタリアの一帯一路参加によって、今後EUの対中アプローチの足並みが乱れることが予想されるが、中国もまたこれまでEU加盟国を個々に狙って手中に収めることで、EUを効果的に分裂させてきた。
だからイタリアによる今回の決断は、大きな意味を持つ。4年前には、イタリアだけでなくフランスとドイツが、アメリカの希望に反してAIIBに参加している。それを考えれば、ヨーロッパ諸国の中で、国益を優先して中国との関係において「自分勝手に行動する」国はイタリアが初めてではないし、最後にもならないだろう。
Winnie King, Teaching Fellow East Asian and International Political Economy, University of Bristol
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
ウィニー・キング(ブリストル大学東アジア&国際政治経済学部ティーチングフェロー)
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