1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

18年米中間選挙では外国政府の干渉はあったのか──ロシア疑惑のその後

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月10日 18時20分



本大統領令による調査対象は、合衆国選挙(連邦選挙)への外国政府またはその代理による干渉であり、調査の主体は国家情報長官である。国家情報長官は、選挙の後に45日以内という比較的に短期間で調査を行わなければならない。

また大統領令の第8条では、「外国からの干渉」について、「選挙に関し、外国政府または外国政府の代理人もしくは代理として行動する者の隠蔽(いんぺい)的、詐欺的、欺瞞(ぎまん)的もしくは不法な行為または企てであって、選挙への影響、選挙の結果もしくは報告の結果に対する信頼を傷つけ、もしくは変更し、または選挙の過程もしくは制度に対する国民の信頼を損なう目的もしくは効果を有するものを含む」と規定している。

大統領令でいう選挙干渉とは、投票の改ざんなど直接的に選挙結果に影響を与える行為だけではなく、「選挙の過程もしくは制度に対する国民の信頼を損なう目的もしくは効果」があるものを含む、としている。このため、実際の効果にかかわりなく、選挙への影響を与える行為の多くが外国からの干渉に含まれることになるはずである。

さらに、「外国政府」とは「合衆国以外の国において、国、州、地方その他の統治当局、政党または統治当局もしくは政党の職員を言う」としているので、外国の国家公務員や地方公務員のみならず、社会主義国における共産党員のような者も「外国政府」の中に含まれることになる。

また調査対象には選挙インフラストラクチャーも含まれ、「連邦政府もしくは州もしくは地方公共団体により、またはこれらに代わって選挙プロセスを管理するために使用される情報通信技術およびシステムを言い、選挙人登録データベース、投票機、投票集計機器および選挙結果の安全な伝達のための機器を含む」としている。

このため調査の対象には、情報通信、システム、選挙人登録データベース等のプログラム、電子投票機その他の機器類等、広範なものが含まれることになる。

大統領令は、調査の結果、外国政府によるアメリカ選挙への介入が明らかになった場合は、特定された外国の干渉に対応して関係した外国人への経済制裁を行うとしている。経済制裁には、次のように広範なものが含まれている。



・合衆国の管轄に服する財産に対する対象者の財産および利益におけるすべての取引の遮断、および禁止
・商品または役務の輸出または再輸出の条件として合衆国政府の事前の審査および承認を必要とする法令または規則に基づく輸出ライセンスの制限
・合衆国の金融機関が対象者に対して貸し付けを行い、または信用を提供することの禁止
・利害関係を有する外国為替取引の制限
・金融機関相互間または金融機関を通じてもしくは金融機関に対し、対象者のためにする信用の移転または支払いの禁止
・合衆国の国民が対象者の持ち分または債務に投資し、または購入することの禁止
・外国人執行役員である対象者の合衆国からの排除
・対象者の外国の主たる執行役に対する制裁の賦課
・その他法律上認められる措置

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください