米イラン戦争を回避する方法はある
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月1日 14時0分
最大のリスクは、アメリカとイランそれぞれの同盟国や代理勢力の行動かもしれない。独自の目的や思惑がある彼らを制御するのは容易ではない。
米政権はイスラエルやサウジアラビアに、イランからの直接攻撃に反撃を行うことは認めるが、アメリカとイランの軍事衝突を招く行動は受け入れないと言明すべきだ。イランも代理勢力に同様の言明をすべきだ(イラク政府は既に国内のシーア派民兵組織に、アメリカによるイラン攻撃を正当化しかねない行動は慎むよう警告している)。
イラン政府は対米戦争を望んではいないはずだ。しかしこれらの衝突防止策に、あるいはアメリカとの交渉にさえ同意するかは見通せない。イランのジャバド・ザリフ外相は先日、緊張緩和に向けた米政権との交渉の「可能性はない」と発言した。
現時点で、偶発的事件がアメリカとイランの武力衝突に発展する危険性は恐ろしく高い。現場レベルでの危機管理・紛争防止措置を講じるのは、イランとの交渉や緊張緩和を実現する上でリスクの低いやり方だろう。トランプが本気で「反戦」を唱えているなら、イランとの衝突回避に向けた議論を今すぐ始めるよう側近に命じるべきだ。
From Foreign Policy Magazine
<本誌2019年06月04日号掲載>
※6月4日号(5月28日発売)は「百田尚樹現象」特集。「モンスター」はなぜ愛され、なぜ憎まれるのか。『永遠の0』『海賊とよばれた男』『殉愛』『日本国紀』――。ツイッターで炎上を繰り返す「右派の星」であるベストセラー作家の素顔に、ノンフィクションライターの石戸 諭が迫る。百田尚樹・見城 徹(幻冬舎社長)両氏の独占インタビューも。
スティーブン・サイモン(アマースト大学教授・元米国家安全保障会議シニアディレクター)、リチャード・ソコルスキー(カーネギー国際平和財団シニアフェロー)
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