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富裕層向け巨大開発が中流層をニューヨークから締め出す

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月8日 16時30分

ハドソン・ヤードで7階建てショッピングセンターの建設を取り仕切ったリレーテッド・アーバン社のケン・ヒメル社長は、別の角度から説明を試みる。「ハドソン・ヤードが何なのか、誰も落ち着いて考えていないのだと思う」と、ヒメルは言う。「あれは誰にとっても有意義な施設なのに」

結局は、政治よりも先に経済がいや応なしに問題を解決するのだろう。10年前にフロリダとアリゾナで起きた住宅危機を思い出せばいい。

物件が余れば開発は止まり、不動産価格は下落する。話題の再開発地区に商業施設が誕生しても、高級ブランドはこれ以上店を増やしても勝算はないと考え、出店を思いとどまるかもしれない。閑古鳥が鳴くショッピングモールは珍しくもない。法律が変わらなくとも、ネット通販の台頭でリアル店舗の小売業は撤退を強いられていく。

そうなったら、空き地に低・中所得者向けの住宅をどんどん建ててもらえるだろうか。そうして開発業者と最富裕層と、その他大勢の私たちが共生できる街ができるだろうか。

<本誌2018年6月11日号掲載>


※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。



アダム・ビョーレ(ジャーナリスト)


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