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50代の半数はもう手遅れか──生活水準を維持可能な資産水準を年収別に推計する

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月12日 16時30分



2|退職後の消費支出

次に退職後の消費支出であるが、退職後も現在と同程度の生活水準を維持すると仮定する。具体的な消費支出額は、現在の年間収入に応じた年間収入別消費支出から教育費を控除した値を基準とする。夫婦の一方が死亡した後、同程度の生活水準を維持するためには、死亡前の消費支出の70%が必要と仮定する(4)
。また、退職時までに用意できた金額別に、生活水準がどの程度下がるかを把握できるよう、生活水準が低下する4パターン(▲5%、▲10%、▲15%、▲20%)で計算する。

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2 夫婦は同年齢
3 但し、加入期間各年の年間収入が、標準報酬月額及び標準賞与額から想定される金額を超える場合、想定した金額に置き換える
4 相対貧困率やジニ係数の算出の際に利用される等価可処分所得と同様。



3|年間収入別、老後の生活のために用意すべき資産金額

最後に老後のために用意すべき資産金額であるが、年間収入別の退職後の可処分所得と退職後の消費支出を基準に、死ぬ前に資産が枯渇する確率が5%となる資産額を算出し(5)、これを年間収入別の老後の生活のために用意すべき金額6とする。結果は、図表3の通りである。

参考までに、退職後、年率1.5%7で運用できる場合に必要な金額も記しているが、運用に失敗して資産が目減りし、その結果、死ぬ前に資産が枯渇するリスクは勘案していないので注意が必要である。

一般的に、老後に必要な資産金額は2,000万円~3,000万円が目安とされるが、年間収入が500万円未満の世帯であれば、2,000万円もあれば退職後も現在と同程度の生活水準が十分維持可能である。一方、50代世帯の34%を占める年間収入が500~750万円未満の世帯の場合、3,200万円必要であり2,000万円~3,000万円では不足する。その結果、退職後に生活水準を5%程度落とす必要が生じる。但し、退職後も年率1.5%で安定的に運用できるなら、2,400万円で生活水準が維持可能である。年間収入が1,000万円以上の世帯に至っては、6,550万円ないと生活水準を維持できず、2,000万円~3,000万円では老後に生活水準を20%以上落とす必要が生じる。また、退職後も年率1.5%で安定的に運用できるとしても、5,050万円以上の資産を用意しないと生活水準を維持できない。



3──準備が整っている人はどれくらいいるのか

では、実際に50代で既に老後の生活のための準備が整っている世帯はどれくらいあるのだろうか。そこで、家計調査及び金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](平成30年調査結果)を基に、50代の年収別純資産残高(金融資産―借入金)の分布を推計した。個人年金は年収別純資産残高に含まれるが、退職時に支払われる退職一時金や企業独自の退職年金は含まれていない。

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