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50代の半数はもう手遅れか──生活水準を維持可能な資産水準を年収別に推計する

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月12日 16時30分

そこで、企業の退職金事情に関する2つの統計資料(厚生労働省平成30年就労条件総合調査、東京都労働相談情報センター中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版))及び中小企業庁 中小企業の企業数・事業所数(2016年)を基に、定年退職時の退職給付を見積もりに加算する。不動産も年収別純資産残高に含まれていないが、賃料収入が期待できる自宅以外不動産を保有している層は限定的であると考え、考慮していない。

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5 基礎研レポート『資産が枯渇しない生活水準を考える-適正支出に対するアドバイス力強化に期待する』(2018年5月8日)
6 これに加え病気や介護などに備え、保険への加入か別途予備費が必要である点に注意が必要である。
7 脚注iによると、投資収益率は1-2%だがあまり値下がりリスクが高くない金融商品を嗜好する高齢者が最も多い





以上の前提を基に、50代の世帯を4つのグループに分類する。

グループ1は、退職時の退職給付も含めると、既に十分な資産を保有している世帯である。

グループ2は、現在と同程度の収入維持が期待できる今後5年間は所得の10%(8)を貯蓄に回し、かつ今後10年間通じて現在保有する資産も含め年率2.5%で運用すれば、十分な資産を準備できる世帯である。順調に頑張れば生活水準が落ちないグループといえる。

グループ3は、現在と同程度の収入維持が期待できる今後5年間は所得の10%を貯蓄に回し、かつ今後10年間通じて現在保有する資産も含め年率2.5%で運用すれば、退職前後での生活水準の低下を10%(9)未満に押さえられる世帯である。順調に頑張っても多少の生活水準低下が避けられないグループと言える。

グループ4は、現在と同程度の収入維持が期待できる今後5年間は所得の10%を貯蓄に回し、かつ今後10年間通じて現在保有する資産も含め年率2.5%で運用しても、退職前後での生活水準が10%以上低下する世帯である。よほど頑張らない限り手遅れであるグループである。



その結果、既に十分な資産を保有している世帯(グループ1)の割合は20%である。順調に頑張れば生活水準が落ちない世帯(グループ2)も含めると、36%の世帯は退職後も現在と同程度の生活水準維持が可能である。一方、よほど頑張らない限り手遅れである世帯(グループ4)の方が、46%と多い。

次に、年間年収別に各グループの割合を確認する(図表5)。既に十分な資産を保有している世帯(グループ1)の割合は、年間年収の低い世帯ほど大きい傾向がある。

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