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明治時代の日本では9割近くが兵役を免れた──日本における徴兵制(2)

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月24日 12時0分

このように、兵役義務は国民の明示的合意なしに定まった。とはいえ、その後暗黙の承認がなかったとはいえないのも事実である。帝国議会が開設されて以降、徴兵令の細かな修正は審議の対象になっている。だから、兵役義務と徴兵制をめぐる問題を本格的に問いなおすことができないわけではなかった。それが行われなかったのは、徴兵制軍隊が日清・日露の両戦役における勝利という、容易に否定することのできない大実績を作ってしまったことにも関係するだろう。

だが、国民の参画がないまま兵役義務と徴兵制が定められ、大正デモクラシー期にいくつかの例外があるものの議論が継承されなかったことは、その後の歴史にも影を落としているように思われる。

※第3回:志願兵制と徴兵制はどちらが「自由」なのか?──日本における徴兵制(3)

尾原宏之(Hiroyuki Ohara)
1973年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、東京都立大学大学院社会科学研究科単位取得退学。博士(政治学)。NHK、首都大学東京助教などを経て、現職。専門は日本政治思想史。著書に『大正大震災』『娯楽番組を創った男』(ともに白水社)、『軍事と公論』(慶應義塾大学出版会)など。

当記事は「アステイオン90」からの転載記事です。



『アステイオン90』
 特集「国家の再定義――立憲制130年」
 公益財団法人サントリー文化財団
 アステイオン編集委員会 編
 CCCメディアハウス


尾原宏之(甲南大学法学部准教授) ※アステイオン90より転載


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