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「無差別殺人はなくならない」という常識に、戦いを挑む高校生たち

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月23日 16時0分

カレンは本書で、大人が処理できない問題の解決を10代の若者たちに委ねるのは酷だと思い、大人の読者に行動を促している。そんな著者の真意を、本誌ニコール・ストーン・グッドカインドが聞いた。





『パークランド──行動の誕生』の著者デイブ・カレン JUSTIN BISHOP

――若者たちへの称賛の気持ちがよく伝わってくる。あの生徒たちは特別な存在なのか?

いろいろ考えてみた。優秀な子がたまたま集まっただけなのか? 確かに優秀だけれど、子供らしい純朴さもある。とにかく彼らには立ち上がる力が残されていた。大人の多くは始める前から諦めてしまうが、彼らはそうではなかった。引き下がらず、その場しのぎの答えを受け入れない。大人の中には目が覚めて、彼らに感謝する者もいるだろう。事件から24時間もたたないうちに、デービッド・ホッグは犯人よりも注目されていた。銃乱射事件がそんな展開を見せたのは初めてだ。

――コロンバインからパークランドまでの間に200件以上の同様の事件が起きた。パークランドに特に注目した理由は?

テレビで見たデービッドにクギ付けになった。私は事件翌日の生存者を20年間見てきたが、彼の反応は違っていた。私はすぐに電話し、簡単なインタビューをした。彼はスピーカーフォンにして仲間とも話させてくれた。するとジャッキー(・コリン)が「バスで(フロリダの州都)タラハシーに行く計画なの」と言う。「タラハシー? ワシントンじゃないんだ」と私。これからワシントンで行進すると聞いていたからだ。しかしタラハシーでも政治家に訴えるという。私は翌日、フロリダ行きの飛行機に飛び乗った。

この若者たちは突然、スポットライトを浴び、あれこれ詮索されるようになった。コロンバイン事件でもFBIは当初、若者2人だけの犯行ではなく共謀者がいると疑っていた。そして今回の場合は、「自分たちだけで(銃規制を求める)行動を思い付くわけがない。彼らを操っている黒幕は?」という声が出た。私にも「誰が裏で糸を引いているのか調べてほしい」というコメントが寄せられた。

――彼らの特徴は?

カメラに慣れていることだ。スナップチャットやインスタグラムを使いこなして、子供時代からコンテンツを作ってアップしている。

――コロンバイン事件はソーシャルメディアが存在しない時代に起きた。パークランドではどんな役割を果たした?

銃撃中、生徒は携帯電話で友達と情報交換していた。今の子供は短時間で多数の相手とメッセージをやりとりし、チャットする。そして事件が終わって帰宅するとソーシャルメディアだ。この違いは大きかった。ソーシャルメディアは思いがけない役割をした。生徒たちの「私たちは何をすればいいのか?」という気持ちを一つにして、行動に移させたのだ。

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